山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

トークライブ@ロフト+ワン

今日は、歌舞伎町のど真ん中にある、「ロフト・プラス・ワン」のトークライブに行って来ました。

ここへ行くのは二回目。最初は、「ヤリワングランプリ」というとんでもない企画で、どーしようかと思ったけど、どーしても見たくて、ひとりで行って、でも、すごい面白かったのでした。

で、本日のテーマは、フジテレビの「笑う犬」という番組のプロデューサーだった吉田正樹さんが「人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ」を出版されたので、その記念トーク…みたいな感じ。

もうひとりは、ミリオンセラー「もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーの「マネジメント」を読んだら」の著者、岩崎夏海さん。

そして、司会を務めるのが、「おわライター」という肩書きを持つ、お笑い評論家でもある、ラリー遠田くん。

元・フジテレビプロデューサー、現在、渡辺プロダクション会長とミリオンセラー作家という大物に挟まれて、さあ、どうする遠田君…というわけで、遠田君を応援するつもりで見にいきました。

実は、彼はもともと、某制作会社で、ADさんをやっており、とある番組で一緒に働いたことがあったのだった。その番組はとっても作るのが大変で、最後の一ヶ月くらいは、ほとんど寝れず、あっちの編集室、こっちの編集室と、渡り鳥のように、はしごして作ったほどのハードなものであった。だから、妙なシンパシーがある。

というか、「一緒に闘ったよねー」って気分。

こんとき、自分のもとに2名のADさんがいたんだけど、ラリーくんは、そのうちのひとりで、まだ、ADになったばかりだったと思う。当時の印象だと、風が吹くと倒れそうなくらい細くて、物静かで、でも、口を開くと案外鋭くて、辛らつな奴…というものであった。

結局、その番組は苦労の甲斐あってか、視聴率もよく、評判も良かったけど、正直、自分はものすごく疲弊して、「このままじゃいけない…」と思い、書きためてあった小説を小学館の賞に送ったのだった。それも、その番組の資料として購入した本の裏側にその賞の「募集広告」が載っていたから。

あの番組であれほど苦労しなければ、小学館に小説を送ることもなかっただろうから、自分の本が出る引き金になったのであった。

そして、ラリーくんもその後、ADをやめることになるのだから、案外、記念碑的番組であった…とも言える。

そんなラリーくんとは、6,7年ぶりの再会であった。以前から、彼の記事は読み、面白いなーと注目していた。まさか、それが、あのヒョロっとしたもやしみたいな少年が書いているとは思わなかった…というのは嘘で、「もしや、彼ではないか」とは思っていた。「遠田」って名字はめずらしいので。

ラリー遠田くんの記事は、しっかりした取材と論点の定まった批評なんだけど、一方で、「お笑い」への深い理解と愛が感じられるものであった。

自分の感覚だけで、「あれはおもしろい」「あれはつまらない」と斬るのではなく、おもしろさを引き出すような、どうやって見たら、「よりおもしろく見られるのか」という視点に貫かれている。

それは彼の優しさと、敵を作らずに行こうという世渡り上手(笑)なのかもしれないが、でも、もっとも望まれる批評のかたちなんじゃないかと思う。

批評によって、その世界が広がること…関心をもつひとが増えること…それはどんな分野の批評にも大切なことであり、批評が豊かになれば、その世界は強さを備えていく…と思う。

そんなわけで、かつてはひょろっとして頼りない感じだった少年が、すっかり大人になっていた。筋トレも始めたようで、一回りも二回りも文字通り大きくなり、立派な仕事をこなしている。

いや~かつて自分のADだったひとが、出世していくのを見るのはうれしいものです。子供が立派に育ったのを見る感じ。

で、今日の内容。(すっかり遅くなりました)。

面白かったー!

自分もテレビ業界におりますが、「お笑い業界」とはあまり接点がないので、テレビにおける、「お笑い番組」の歴史…その戦争と革命…みたいな逸話がばんばん、吉田氏の口から飛び出し、それを、岩崎さんが、低いトーンでフォローし、というか、うなづいてまとめ、間にはいった、ラリーくんが、かゆいところに手が届くように、吉田さんに質問をぶつけていく。

「朝生」みたいなバトルじゃないけど、非常にゆるやかな、居酒屋ならではの話のなかに、
芸能の意味、
笑いってなにか?
仕事の醍醐味、
後輩を育てること、
仁義なき戦い “日テレ VS CX”
テレビはどこへ行く

…みたいな話が次々と聞けて、勉強になったり、反省したり、笑ったり…でした。

なんか、トークライブって面白いなあ。新しい分野だと思うけど、ライブならではの面白さがある。トークのなかで、吉田さんも言ってたけど、ライブにおもしろいものを探しに行くってこと、これからますます、盛り上がるのではないか…と。

それから、偶然、「まじめなわたしの不まじめな愛情」の表紙モデルをやってくれたkanoちゃんとも遭遇。彼女も立派な社会人になっていた。おう、みんな、働いてるなー。自分、年とるわけだ。

ちなみに、帰り道、ナンパされたよー、超久しぶりに。まあ、たぶん、ホストの客引きだと思うけれども…。さすが、歌舞伎町であった。