イギリス 犬の旅 ゴールデンレトリーバー発祥の地
ロンドンのケネルクラブで見つけた、古いアルバム。
写真に写っていたのは、ノースというイエロー^レトリーバー。1864年生まれ。
このノースの四頭の子犬が、ゴールデンレトリーバーの始祖だと言われています。
交配したのは、スコットランドの貴族、ロード・ツイードマス卿。
グシカンという地に、今もそのお城のあとや、犬小屋があると聞き、この地まで来たのでした。
こちらが現在のグシカン。メインストリートに10軒くらいの家しかない、静かな場所です。
夏は避暑地として混雑するそうですが、真冬の今は、ホテルも閉鎖中。
ということで、泊まったのが、こんなコテージ。
優に10人は泊まれる、広くて豪華な一軒家です。
こちらが、リビングです。夜は暖炉に火をともして、ゆっくり過ごしました。
こちらは、機能的で明るいキッチン。窓の外の雪景色を眺めながら料理しましたよー。
バスルームの床にはタータンチェックの絨毯が敷かれていました。さすが、スコットランド!
私の泊まった寝室はこんな感じ。
ピンクを基調としたかわいい部屋。ローラアシュレイとか、キャスキッドソン的な…。
天窓がありました。
このほかにもベッドルームが3つある、豪華なコテージでした。普通は一週間単位で貸し出すところを、3日だけお借りしました。しかも、コーディネーターと二人きりで…。
寒かったけど、優雅でした。
ここも昔は、ツイードマス一族の所有だったそうです。
さて、コテージの話はこれくらいにして、ゴールデンレトリーバーが暮らしていたという犬小屋へ行ってみましょう。
実は、借りていたコテージの隣でした。
昨日も書いたとおり、大きいです。犬小屋なんて呼んでいる場合じゃないです。立派です。さすが貴族の犬小屋はちがいます。
こちらが正面玄関です。両側の窓が、犬たちの暮らしていた部屋だといいます。
わくわく…!
なかに入ると…
キッチンです。(人間用)
実はここ、コテージの大家さんが、リフォームして暮らしている家なんですねー。
大家さんのジェニーが飼っている、ラブラドールレトリーバーの夫婦にまずは、ご挨拶。
白いほうが、ディーファといいます。とても人懐こいカワイイコ。
「ディーファってどういう意味?」とジェニーさんに聞くと、
電話などでスペルを説明するとき、
「AはアメリカのAとか、Bは、ブルーのBっていう風に説明するでしょう。私の場合、Dは、dogのDって言うから、それからつけたのよ」と教えてくれました。
ディーフォードッグから、ディーファ。(発音によっては、ディーフォとも聞こえます)
なるほど。Dはdogのdですよね。
私もこれから、dを説明するときは、DOGのDと言うことに決めました。
さて、デイーファの名前の由来に感心しつつ、いよいよ、犬舎見学です。
ドアを開けると…
長い廊下が続きます。ここもタータンチェックの絨毯が…。かわいいです。
ジェニーさんのセンスです。
並んでいるドアは全部、元・犬の部屋だそうです。
最初のドアを開けると…
バスルームに改装されていました。
でも、この一部屋に犬が何頭かで暮らしていたそうです。今ではそんな面影はありませんが、当時は、床暖房も施されていたそうです。もちろん、犬のために。
さて、次のドアです。
こちらはダイニング。すっかり、おしゃれにリフォームされちゃってます。
続いて…
おお、なんとゴージャスな部屋でしょう。
現在は、応接間です。
かつてここは、狩猟でしとめた獣を解体する部屋だったそうです。毛皮をはぎ、肉をそぎ落とす部屋…。
今は、そんな血なまぐさい雰囲気はゼロです。
ということで、以上が、元・犬小屋の現在の様子です。
びっくりですよね。犬小屋ではないです、立派に人間の住処というか。すっかりきれいに改装されちゃってました。
ちょっとだけ、残念でした。
もっとこう、「犬小屋っぽさ」や「犬の気配」を感じてみたかったです。
さて、気を取り直して、注目ポイントです。
壁の厚みを見てください。すごく分厚いでしょう。幅70センチくらいはありましょうか。
このコテージ、地元の石を積み上げてできているんですが、寒さ対策のために、壁を厚くしてあったんだそうです。もちろん、犬たちのために…。
私が訪れた時も零下何度かになってましたから。
さらに、心温まるエピソードを聞きました。
なぜ、ツイードマス卿は、この地に犬舎を作ったのでしょうか。
それは、ここに、犬の健康にいい、スプリングウォーターがあったから…だそうです。
スプリング・ウォーター…つまり、湧き水!
そんな……ゴールデンレトリーバーの健康にいい湧き水があるなんて…
それをミニに飲ませたい!と思いました。
いえ、もう、遅いんですけどね。
「今でもその湧き水はあるんでしょうか」
前のめりになって尋ねる私に返ってきた答えは、「ノー」でした。
すでに埋め立てられてしまったらしいし、具体的にどこにあったのかもわからないそうです。
なんて、もったいないんでしょう。
私ならその水を掘り出して、「グシカンのドッグウォーター」として売り出します。
このあと出かけた、ツイードマス卿のお城跡だって、放置されてて、崩壊寸前なんです。
自分だったら、「ゴールデンレトリーバー発祥の地」として、宣伝し、近くで、ゴールデンを育て、Tシャツとかグッズとか売っちゃいます。だって、自分がほしいくらいですから…笑。
まあ、冗談ですけれども、しかし、この地の方たちは、そのような日本人的な発想はせず、ゆっくり静かに暮らしていくことを選ぶみたいです。
元・犬舎を見学したあとは、ジェニーさんの案内で、ツイードマス卿のお城を見に出かけることになりました。
「どれくらいかかりますか?」と尋ねると…
「そうね、だいたい3時間くらいかしら」
「え?え?…3時間?…まさか、歩いて?」
「そう、歩いて3時間くらい」
「この雪のなかを?」
「そう、この雪のなかを」
なにか、問題ある?って笑顔でジェニーさんが答えます。
3時間、雪のなかを歩く…
ひえー!
コーディネーターと震えましたが、ここまで来たんです。3時間がなんだ、
フィールドトライアルでも、3,4時間、雪のなかを歩き回っていたんです。
犬が一緒なら大丈夫。それに、なによりこの旅の最終目的地です。
秋葉原で買ったノースフェイスのブーツに、靴用ホカロンを仕込み、ポケットには、遭難したときようの(オーバーだって…)チョコレートクッキーを忍ばせ、ジェニーさんのあとをついて、お城目指して出発しました。
もちろん、ディーファも一緒です。
ディーファが一緒なら、楽しいです。犬と歩くのは、本当に楽しいから。特にこんな森のなかを。
さあ、出発です。
どうなることやら…。
以下、次号です。