山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画「幸せの法則」

先日、解説を書いた「キッズ・オールライト」のリサ・チョロデンコ監督の作品、「幸せの法則」をDVDで見ました。

原題は、「ローレル・キャニオン」で(スペルに自信ないから、カタカナで許して…)、ロサンゼルスにある地名のようです。

ここは、芸術家たちが好んで暮らしたロス郊外の場所らしく、そこを舞台にした、「自由な芸術家たちの暮らしぶり」に影響されて脚本を書いたそうです。

DVDに収録されている、監督インタビューで知りました。

主人公は結婚を控えたカップル。

男子は、ハーバード大学の医学部出身の精神科医。

女子も同じ大学(たぶん)で遺伝子研究をしている研究者。

ともに、知的エリートのカップルです。

が、結婚前に、エリート医師はロスの病院で研修医として働くことになり、婚約者といっしょに、母親の住む、ローレルキャニオンにやってくるのでした。

この母っていうのが、ぶっとびさん。

数々のヒット作を生んだ音楽プロデューサーで、ローレルキャニオンの自宅には、録音スタジオもある。

自由な恋愛を謳歌して生きてきて、今も16歳年下のバンドボーカルが恋人。

マリファナを吸いながら、レコーディングなどをしている。

こんな環境に、堅物カップルがやってきて…というお話ですね。

これ、ある意味すっごいリアルな作品でした。

ひとつには、「自由にやってきたひとが中年以降を迎えるとどうなるか…」というシビアな視点がある。

だって、この母親、自分の彼氏と息子の彼女と思わず、3Pしちゃいそうになるんです。さすがにいけないわ…!って気づくのね。

これ、相手が「息子の彼女」じゃなかったら、やってたでしょう。さすがに息子の彼女とはやらない…という理性だか倫理があって面白かった。

そして、もう一方の息子のほうも、研修先の病院で、思わぬ出会いをして、一線を越えそうになる。そのあたりのゆらぎの描き方がリアルで面白かった。

人間の欲望…というか快楽に対する弱さや、倫理観のありようを、比較的ゆるやかに、でも辛らつに描いている。

邦題「幸せの法則」を誤解して、「結婚前のカップルのゆらぎがテーマかしら。でも、最後はふたりは幸せな結婚をするのよね」なんて気持ちで見たら、ぶっとぶ…というか全然理解できないでしょう。

そもそも、幸せってなに?と投げかけるような映画ですから。

…というわけで、若き頃からこの監督は、「性的快楽」のありようについて、ストレートに描いているなーと感心、感心。

テーマを貫く、大切さを学びました。この映画の先に、「Lの世界」とかが存在するのよね。

ふむふむ。

追伸ですが、今日のEテレ(NHK教育テレビ)の「極める・佐藤江梨子の読書術」で、うちの子…というか、「すべては海になる」が一部放映されたそうです。

本好きの佐藤江梨子さんが、書店員をやった…という紹介だと思うけど。

なんにしろ、メディアでとりあげてもらえるのは嬉しいことです。しかも本がらみとあってはなおさらね。

7月11日(月)午前11時から再放送あるようなので、よろしかったら、ご覧ください。

私も見て見ようと思います。

ほんじゃ。