山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画「モールス」

律儀に見た順番に映画の感想を書いております。

今日は、「モールス」でございます。

これはですね、スウェーデン映画「僕のエリ、200歳の少女」のハリウッドリメイク版であります。

「僕のエリ」も拝見しております。

この「僕エリ」ファンは日本では結構いらっしゃるようで、各地で絶賛の声を聞いて見に行ったのでした。そして、瞬く間にハリウッドリメイク…日本の映画ファンとハリウッドの感覚は近い…ということでありましょう。

正直、自分は「僕のエリ」については、「よくできてるなー」くらいの感想でして、それほど強烈な印象はなかったです。

ひとつは、自分は、バカリアリズムなので、吸血鬼とか出てきちゃうとなかなか入り込めない…という問題があります。

わたし、想像力の乏しいかわいそうなひとなんですね。

でも、なんで見に行ったかといえば、ひとつはハリウッドだとどんな風にリメイクするのか…が見たかったのと、もうひとつは、吸血鬼役をですね、「キックアス」のヒットガール=クロエ・モレッツがやっているからなんですねー。

きゃー、ヒットガール、大好き!

結論からいうと、こちらもたいへんよくできた作品でした。やっぱり脚本がよく練られているんですよね。わかりやすい。登場人物の感情がとても自然で理解しやすい。吸血鬼の心情も含めてね。

それと、リメイクだけど、ほとんど元の映画と同じ。ロケセットの感じもセリフまわりもほとんど変化なし。

設定をアメリカの田舎町に移し、キャスティングを変えただけで、ほとんど「僕のエリ」と同じだった。

あえて差を探そうとすれば、「僕エリ」のほうが、吸血鬼ちゃんの見た目がもっと野性的でした。

スウェーデンという、色の白いひとの多い国で、吸血鬼ちゃんは、髪の色も濃く、目鼻立ちもエスニックでいかにも異なった世界の生き物…を感じさせましたが、こっちは、ヒットガールが演じているので、ブロンド・ブルーアイのばっちり白人でそれがちょっと意外だったかもしれません。

元の映画を見たとき、吸血鬼という種族もまた、同じ地球に生息するひとつの生き物であり、人間の血を吸うのは悪意からではなく、生きるための宿命である…ということが感じられ、生き物がなにかを食べて生きるというのは、結局のところ殺戮であり、人間だって、牛や豚を殺して食べていることと変わらない…というちょっとした批評性も感じました。

それは大きくはこの作品のテーマではないのでしょうけれども。

よく宣言文句にあるように、孤独な少年と孤独な少女(本当は少女じゃないけど)の出会い…が見せ場なのかな。これはもはや恋愛というより、この世界に居場所を見つけられないもの同士の共闘のお話なんですよね。

それはそれで美しいのですが。

ただ、自分はくそリアリストなので、今の時代だったら、少年は医者になり、輸血用の血液を手に入れることで、なんとか吸血鬼との平和的共存を目指せないのかしら…と思ってしまいました。

少なくとも、自分が少年の立場ならそうするなー。

いやいや、映画ですから、具体的な解決策を見せてくれって言ってるわけじゃないから。

そうでした。

ということで、感想でありました。

いえ、とても美しい、よくできた作品です。

ただ、新しい世界観に貫かれている…みたいなことはないかもしれないのでした。

あとね、アメリカもイジメあるんだなーって。