ロンドン42日目。
朝起きたら、風邪が悪化しており、顔洗おうと思ったら、貧血して、世界がホワイトアウトした。
もともと、真っ白なバスルームですが、そのせいじゃなく、視界が真っ白に。
やばい、死んじゃうと思い、今日は学校を休んだ。
2ヶ月近くいて、学校休むの初めて。
だって、毎日楽しかったから。
小学生から高校生まで、一貫して学校が苦手で、しょっちゅう休んでいて、高校の後半は半分くらいしか行かなかった私が、学校、休みたくな~い!って思うなんて、なんていい学校なんでしょ。
しかし、大事をとってお昼まで寝ている。
午後、どうしても避けられない用事があって、日本大使館へ。
うちからそう遠くないし、なにしろ日本大使館だから、問題ないだろうと思って、出かけた。
が。
「大使館」という名のつくものを甘く見ていた。
まず、入り口で、パスポートの提示を求められる。
えーそんなー聞いてないよー。
もちろん、パスポートなんて持ってきてない。内部のひとに届け物をするだけだったので、しかも相手は日本人だから、パスポートがいるなんて知らなかった。
パスポートなければ、日本人だって証拠ないもんね。
しばし、入り口で押し問答。もちろん、日本語は通じない。
免許はないのか、顔写真の入った証明できるものはないかといろいろ聞かれるけど、「ねーよ、そんなもん」
内部のひとと約束があると強く言って、入れてもらう。
なにか見せろっていうから、唯一もっていたvisaカードを見せる。よくわからないけど、これで、根負けして入れてもらえた。
やっと内側へ。
あとはレセプションで約束の人物の名前を言えば、OKだ…と思ったのもつかのま。
レセプションで、相手の名前をいっても、「そんなひと、いない」の一点張り。
相手からもらったメールを見せても、だめ。
もちろん、このレセプションのひとも日本語できない。(本当にできないのか、できないふりしてるのかしらないけど)
おー、こんなにたいへんなんだ、大使館。
これじゃあ、自分が、本当に困って日本大使館に駆け込んでも、助けてもらえる確率はとても低そう。
何度もねばって、「かならずいるはずだ!」と強く言ったら、やっと、「聞いてみる」となった。
それからしばらく、ロビーのようなところで待つ。
日本大使館だからと安心して、相手の携帯の番号なども聞いてなかった。行けばなんとかなるだろうと思ったのだ。
しかたないので、コーディネーターに電話して助けてもらおうと思ったところ、ようやく、約束の人物が現れた。
で、無事、解決。
風邪で貧血で死にかけてたので、ものすごい困難であった。
しかし、今日の受難はそれだけではない。
このあと、念願の三脚を買いに行った。
ロンドンはすっかりクリスマスシーズンで、どこもかしこも23日で休みに入るので、買っておきたかった。
この店も先週、下見に行き、ほしい三脚を細かく伝え、何度もメールを入れておいた。さらにイギリス人のカメラマンに電話もしてもらっておいた。
が。
行ってみると、「その三脚が入るのは、来年の10日以降だね」と言われる。
おーマイ、犬の神様!
「それじゃ、間に合わないんだよ、オヤジ、あんたが、先週の木曜にはここに来るって言ったよな?確認したよな?これがその時もらった、名刺だよ。私は風邪で貧血で死にかけてて、日本大使館で冷たくあしらわれて、息絶え絶えだけど、ロケのためにここまで来たんだよ。そういう、ディレクター魂、わからないのかい?」
って、一気にまくしたてたくなった。
そうしなかったのは、英語力のせいではない。日本にいたってそんなことは言わないよ。
私の落胆ぶりをみて、担当のひとが、「別のならある」と他の三脚を持ってきた。
組み立ててくれて、こっちの持ってきたカメラを載せて、使い方を教えてくれる。
彼になり申し訳ないと思ったのか、商売したいのか、わからないけど。
(いや、そんなに悪そうなひとではなかった)
しかし、聞いたことのないメーカーだったし、まだ、あきらめるのは早いと、とりあえず、買わずに帰ってきた。
買う場合は23日の午前中までに必ずくるから、とっておいてくれ、ときつく頼み、メールアドレスを確認して、退散。
家に帰って、そのままベッドに倒れ込みたかったが、そうはいかない。
三脚を探さなくっちゃ。
実はそんなこともあろうと、もう一軒、押さえておいたのだ。その店のほうが、安かったし、一度メールを送ったら、ていねいな返事がすぐに来たし、もともとこっちのがいいかもしれない…と思っていた店だった。
しかし、問題点はひとつ。遠いのである。
今日、行った店は、私のアパートから20分くらいの距離。
東京でいうと、四谷とかそういうイメージ。
一方の店は、成城学園前とか、川崎とかのイメージ。
(例を出すとかえってわかりにくいかな。東京でいうと23区内じゃないってことです)
しかし、遠いとか文句言ってる場合じゃねー。
「明日、買いたいのですが、在庫はありますか?」とメールを送る。
すると、一瞬で返信が…。
「あります」
あまりの素早さとシンプルすぎる返答に戸惑いながら、「しつこすぎるのでは…」と思われるほどの確認をメールでする。
しかし、それでも心配なので、コーディネーターに電話して、確認してもらった。
これでひと安心。しかし、まだ、手に入ったわけじゃないからね。
三脚の件がとりあえず片付いたので、次はミニキャブの予約をすることに。
みなさま、ご存知かどうかしりませんが、25日のクリスマス当日は、すべての交通機関がストップするんですね。
地下鉄、国鉄、バス、みーんな、みーんな。
つまり、タクシーしか脚がなくなるわけですよ。なので、タクシーの予約をしておかないといけない。
しかも、クリスマス特別料金で高くなるらしい。
クリスマスの間、アニマルホームで撮影しようと思っているんだけど、「それなら、いっそ、近くのホテルの泊まったら?そのほうが安上がりかもしれませんよ」とコーディネータに言われるほど、高いらしい。
英語学校の先生も、「早く予約しないと、クリスマスのタクシーの予約はなくなるよ」と言っていたので、病をおして、近所のミニキャブやさんへ。
(もちろん、ネットで頼めるところもあったんだけど、とりあえず、近所からせめようと)
少し歩くと、うちの近所には、大きなターミナル駅があり、その周辺にはミニキャブさんがある。ので、そのうちの一軒へ。
アニマルホームとうちの住所、来てほしい時間など、あらかじめ用件は全部、丁寧に書いておいた。
風邪でぼーっとして、間違えるとまずいからね。
そしたら、案外、スムースに引き受けてもらえた。しかも、聞いていたほど高くない。
いや、自分は金銭感覚がおかしいので(ものの値段にうとい)、高いのかもしれない。
でも、往復で30£だから、3600円ってそんなに高くないよね?
…というわけで、とりあえず、今日の使命は果たした。
そのあと、風邪薬などをかって帰宅。
明日の学校にそなえて、薬のんで早く寝ようと思っていたのに、もう、23時だよ。
しかし、いろんな困難も「冒険」みたいなもんだから、楽しみとする。
まあ、本格的な被害を被っていないからかもしれないけどね。
がんばれ、わたし。