ロンドン46日目。
今日もアニマルホームへ。
朝8時半にタクシーを予約しておいたので、楽々出勤。道はガラガラだったので、10分くらいで着いてしまった。
朝ご飯をタクシーのなかで食べようと思ったのに、着いたときには、サンドイッチを半分しか食べられなかった。それくらい、道は空いてました。
クリスマス当日というのは、日本でいえば、1月1日、元旦のイメージでしょうか。一年で一番大事な日…。誰もが休みで、家族や大事なひとと過ごす一日…と思われています。
でも、動物たちにはそんなことは関係ないよね。
ボランティアも何名か来ていたし、常駐のスタッフは10人くらい。
午前中はボランティアに来ていた、普段はピアノを教えているという女性と川沿いまで二匹の犬を散歩に連れてゆきました。
ランチ前、「猫のコーナーでクリスマスプレゼントを開けるから、撮りにいっておいで…」と言われたので、カメラを持ってでかける。
私は犬担当だし、主に犬のセクションを撮っているので、猫エリアにはあまり行かない。
行ってみると、きれいにラッピングされたクリスマスプレゼントの山。
写真で見せたいけど、なにしろ、動画を撮影しているので、とてもスチール写真も合わせて撮れるほと余裕なし。
とにかく、プレゼントの山。
「このプレゼントは、どこらからですか?」と尋ねると、猫好きの女性が、毎年、ホームで暮らす猫たちにクリスマスプレゼントを送ってくれるんだそう。
ひとつひとつのプレゼントに猫の名前が書いてあるのよ。
「親愛なる、タマちゃんへ。元気ですか?メリークリスマス!』みたいな感じ。
この大量のプレゼントをどうするのかしら…と思ったら、スタッフは一匹ずつ、猫を呼んで開くという。
プレゼントをもらった猫の前で、その猫のためのプレゼントを開くのよ!
もちろん、猫はなにもわからない。猫小屋から出られたので、あたりを走り回っている。
スタッフが、「タマちゃん、ほら、プレゼント、もらったわよー。開けるわよ。わーすてきな毛布ね。どう、今夜から使う?」
なんて、話かけても、タマは我関せず、あたりを走り回ったり、包装紙のなかに頭を突っ込んだり。
猫ですもの…当然よね。
にもかかわらず、スタッフは根気良く、「さあ、次は、viviの番よ。開けるわよー、わーすてき爪研ぎね」なんてマジでやってる。
ちょっと笑い出しそうになりますが、とても、微笑ましい光景でした。
犬たちへは、ドッグフードなどが届けられてました。
ランチは、スタッフとボランティアが集まっての、ミニクリスマス会。ちょっとだけシャンパンがでたり、アニマルホームの上の方から、スタッフそれぞれにクリスマスプレゼントが配られたり、なごやかで楽しいひととき。
それも、30分もしたら、切り上げ、スタッフは、そうそうに犬たち、猫たちへの世話へ戻っていった。
午後は、コウ(秋田犬)と散歩したりしてました。
夕方、猫のボランティアの女性にインタビューした。
クリスマス当日なのに、ボランティアするなんて、立派だなあと思って。
彼女は老人ホームのナースさんだった。
「動物や人間の世話が好きなんですね…」と言ったら、「どっちかっていうと、動物のほうが好きだけどね」とにやりと笑った。
そのあとも話を聞きながら、思った。
昨日、英語学校の先生がボームに来たとき、「アカネ、クリスマス、ひとりなのかい?」と驚いた顔で確認してたけど、彼は家族がいて、子供たちと過ごすクリスマスがこの上なく楽しいのだろうと思う。
だから、ひとりでクリスマスを過ごすという私がかわいそうでならなかったのだと思う。
けど。
日本もそうだけど、たぶん、イギリスでも、ひとり暮らしの中年以上の人は増えていると思う。若いときなら、一人暮らしでも友達の家を訪ねたり、パーティーに行ったり、いろいろイベントがあるかもしれない。
けど、年を重ねていくと、にぎやかなイベントより、静かに過ごしたいと思うものだ。そんなとき、ひとり部屋にいるより、自分を待っていてくれるたくさんの動物たちのいるホームに出かける…というのは、悪くない選択じゃないか…とふと気づいた。
私ももっと年をとって、その時ひとり暮らしだったら、クリスマスやお正月みたいな、ひとりでいるのはさみしいな…と感じる日には、たくさんの犬や猫が待つアニマルホームで過ごすのはいいなと思う。
そこで、やはりひとりぐらしの犬たちや人間とそんなに大騒ぎをするでもなく、公園や河原に行って、「今日は寒いねー」とか、「町中が静かだね」なんて、どうでもいいことを話しながら、ゆっくり過ごすのはいいんじゃないか。
一心に子猫と遊ぶ、ナースの女性を見ていたら、そんなふうに感じた。
メディアや世間が、「クリスマスは大切な人と過ごす!』という力強いメッセージを繰り返すたび、置いてきぼりにされた気分になったら、動物に会いに行こう。
アニマルホームでは、ひとから捨てられた犬や猫たちが、空を見上げながら、あなたを待っているから。