山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

「はる」が来た!



ついにこの日を迎えてしまった。新しい犬が来たのである。

その名も「はるる」と言う。

到着、当初は、遠慮がちで、ミニ(前の犬)のベッドにも半分しか乗らなかった。

控えめな性格のようだ。



が、しばらくすると、持ち前のジャンプ力を発揮して、ソファにオン。



なでて上げるうちに寝てしまった。



おお、なんという愛らしい姿。

犬が気を許して寝てくれるっていうのは、もう、ホントに嬉しい。

さらに慣れて、ミニのベッドにもちゃんと乗るようになった。ここが自分のベッドだって理解したようだ。



そして、ここでも安心して寝ている。



はるるは、苦労して来た犬である。

ざっと来歴を書いておこう。

今年の2月上旬、千葉県内で捕獲された。首輪はしていたそうなので、誰かに飼われていたにちがいない。

人間に愛されることを知っている犬だからだ。ただの野良犬ならここまで簡単に気を許さないだろう。

捕獲後、動物愛護センターに収容された。センターでは飼い主が現れなければ、処分される。期限が来ても飼い主は現れなかったそうだ。

しかし、ここで、ボランティア団体ちばわんにより、命を救われる。ちばわんが里親捜しをするとして、センターからの引き出しを決定したのである。

救いの手が差し伸べられなかったら、今頃、この犬はこの世にいなかっただろう。

すぐに里親は決まったようだが、なぜかキャンセルされてしまったと言う。その後もセンターで暮らしていたが、同室だったシェパードにひどいイジメを受けたようだ。

私がはるるに出会ったのはその頃だ。取材のため、3月半ば、愛護センターを訪れたとき、ボロボロになったはるるがいた。

ちばわんさんの手伝いで、シャンプーを担当した。

ケガをしており、血だらけで、その上、糞尿まみれだった。猛烈に臭い。そして、ガリガリに痩せていた。

最初は非常に怖がってビクビクしていたが、どこか諦めモードで、「もう、どうせ、生きられないし」みたいな感じだった。

それでもぬるま湯をかけ、ゆっくり洗ってやると、次第に心を許してきた。

つい、自分の犬にやっていたくせで、「ほら、足洗うから、足上げて」と言ってしまったのだ。

(うちの犬たちは賢くて、人間の言葉をほとんど理解していた)

すると、初めて会って、ボロボロのばるるが、すっと足を上げた。私が洗いやすいように考慮してくれたのだ。

おお、なんと賢い犬!

さらに、しばらく洗うと、体を私にあずけてきた。もたれかかるというか、ほろ酔いの女性が、甘えるような感じである。

「どうにでもして…」みたいな。(ううむ、比喩がよくないか?)

私はすっかり参ってしまった。

なんて、かわいい犬なんだろう。なんて、愛らしいんだ。

この犬を救わなくて、なにが、動物愛護だ、なにが「犬の映画」だ。

この犬をもらうんだ。引き受けるんだ。

その瞬間に心は決まった。

ちばわんでは、すでにこの犬を預かる方が決まっており、そこで、いろいろな処置をされてから、里親募集となることになっていた。

すかさず、預かり宅までついていった。はるるがどうなるか見届けたかったのだ。

取材というより、犬を愛するひとりのバカに戻っていた。

しかし、すぐに引き受けるわけにもいかなかった。韓国、台湾での映画祭、30分番組2つを抱えており、たとえ引き取っても、充分に世話をしてやれる時間がなかった。

5月になったら迎えに行く、そう心に決めて、働いた。

そして、5月。里親希望を申し込み、今日、来てくれることになったのだ。

やさしい預かりさんにより、はるるはびっくりするほど、キレイになっていた。そして、性格も明るい。

あの、死を覚悟したような目ではない。ひとに再び愛されることをしって、生き返ったのである。

そして、うちにやってきた。

預かりさん宅にて、「はる」という名前をもらった。

そのままでもよかったけど、うちの隣に「はるちゃん」というゴールデンレトリーバーが住んでいて、はるちゃんは昨年亡くなってしまったけど、飼い主さんとは今でも仲良しなので、同じ名前ではないほうがいいと考えた。

でも、せっかく、「はる」という名前を覚えて、安心して生きていこうとしているのだから、混乱が少ないように、「る」だけ加えて、「はるる」とした。通称、「るー」だな。

そんなわけで、これから、出来る限りのことをして、精一杯愛していくよ。

はるる。

ようこそ、わたしの家へ。



*はるるのセンター暮らしの経緯はちょっとだけ、ちがっていたみたいなので、おって、詳しい来歴を書きます。