山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画「スウェーデニッシュ・ラブストーリー」

wowowで録画したものをようやく見ました。

1970年にスウェーデンで70万人が見たという大ヒット映画。日本でも公開されたようですが、その時は20分ほどカットされていたそうで、21世紀になって、日本で完全版が公開された作品。

…というようなデータは知らなかったのですが、ここのところ、スウェーデンものに魅了されていたので(「ミレニアム」)、みたくなったわけです。

ストーリーは、15歳の少年と14歳の少女の恋物語。こう書くと、切ない「初恋」のイメージですが、実際は結構、リアルです。週刊誌的に言うと、「お泊まり愛」に発展しております。

登場人物のキャラクター設定がはっきりしているし、ドキュメンタリーかと思うほどに、演技は自然だし、なにより、映像が美しい。スウェーデンの澄んだ空気が感じられるほどに、やわらかな日差し、輝く緑、そのなかで育っていく幼い恋…。

ほんとに美しい映画なんですが、しかし、正直、途中で飽きました。14歳と15歳の幼いけど、しっかりとした恋愛を見るのもいいのですが、あまりに「それだけ」なので、ちょっと退屈しました。

しかし、なぜ、これが70年代には大ヒットしたのか。これについて考えてみました。

たぶん、70年代ってまだ、「自由恋愛」が珍しかったんですよね。スウェーデンでさえ。

結婚というのが、キリスト教を下地にした、契約であり、大人になったら必ずするもの…として流通していて、そのなかで、「恋をする」というのは、特別なひとにゆるされた、特別の行為だったのではないかしら。

あえて「恋愛結婚」と名付けられ、恋愛=よきもの=自由なものというイメージでこのあと、世界じゅうを席巻していくことから考えると、「恋」を貫けるひとは少数派だったんだと思う。

だから、幼いふたりが自由に愛し合う様子を固唾をのんで見つめたのではないかしら。

「恋ってすばらしいな」と思いつつ鑑賞したのではないか。

今や21世紀になり、恋愛は人生のオプションのひとつになり、やりたいひとがやればいい、ひとつのアプリみたいになってしまった。

ご存知のように、「恋愛」だけがテーマのテレビドラマはもはやない。死に至る病にかかるとか、殺人とかなにか事件にかかわらないと成立しなくなっている。

それは、ただの恋愛ドラマに興味を示すひとが減ってしまっているからだよね。

恋愛はそんなに特別のことじゃない。

……というようなことを、この映画を見て思いました。まだ、世界じゅうが「恋に恋をしていた時代」の映画なんだなーって。

すれっからしの視聴者の自分は、途中で飽きてしまって申し訳なかったですが…。