そんなわけで、また、インド映画。
かつて、お弁当ドラマ(「461個のありがとう」NHKBSプレミアム)を作ったこともあるけれども、
お弁当ってドラマや映画ではちょっとしたブームなのかしら。
こちらは、インドのムンバイが舞台。
料理上手な主婦が夫のためにお弁当を作ったのだけど、なにかの間違いで別の人に届くことから始まる物語。
インドでは、作ったお弁当を、職場まで届けてくれる運びやさんがいる。わりと一般的らしい。
日本だと、朝、お弁当をつくって持たせるけど、もしかしたら、インドはとても暑いから、朝作って持って行くと昼までに傷んでしまうのかもしれない。
お昼少し前に作って、誰かが運んでくれるなら、出前みたいなもので、安全だし、より美味しいから、よい習慣かもしれない。
こういう知らない習慣を知れるのは面白い。
でもって、あらすじに戻ると、主人公の主婦イラさんのお弁当は、間違って、退職間際のシングルおじさんの元へ届く。
イラさんのお弁当があまりに美味しいことから、このおじさん、食べ終わった弁当箱に手紙を入れる。
「おいしかった」とか。しかも、なにも残さず、きれいに食べてある。
全部食べる、というのも、一つのメッセーじなっている。
作る側にしたら、とても嬉しいものだ。
これがきっかけになり、ふたりは、弁当箱を通じて、文通をすることに。
弁当の味から、人生相談、ついには「会いませんか?」というところまで進む。
…拙作の弁当ドラマも、弁当がひとと人をつなぐ、というテーマでしたが、いづこも同じかもしれません。
(以下、ネタばれと言われたら、そうだというものはある)
インドの女性は奥ゆかしいと、「マダム・イン・ニューヨーク」の時に書いたけど、こちらはちょっとちがう。
イラの方から、「そろそろ会いませんか?」と誘う。
で、男の方がひるむ。
自分はもう、年寄りだから、彼女に似合わない、と思って身を引く。
彼女が待つカフェに行き、こっそり見て、「きれいだー」って思っても声をかけない。
今回は男性が奥ゆかしい。
でも、見ている私としては、いつか二人は会って、駆け落ちか?とワクワクする。
(いつも駆け落ちばかり期待してるんじゃねーよ)
ところが、駆け落ちはなし。
というか、会うことすらしない。
おー。
なんでしょう、インドの文化では、「恋は秘めたもの」とでもいう習わしがあるのか。
なぜ、そんなに奥手なんだ。
なぜ、駆け落ちしないんだ。
で、ふたりは秘めた思いのまま、それぞれの日常に戻りました、という結末だ。
わ、ここで終わるのいきなり?という展開でした。
かつて、日本にもこの手の美学がありましたが。
どうも、この手の燃焼しない感じは苦手ではある。
インドの恋愛事情をちょっと研究したくなりました。
ところで、お弁当がつなぐ物語がアリだとすると、これは、コンビニのお弁当でもいけるのかしら。
やっぱり、手作りじゃないと感動を呼べないのかな。
食べ物を出す、というのは、ちょっとした仕掛けですからね。
エロスと同じで、食欲を刺激して、映画をひっぱるという作戦が結構成功しているのは、過去の例を見るまでもなく。
そんなわけで。
今夜は、録画してあった、「アウトレイジ・ビヨンド」を見ました。
暴力もまた、エロスやご飯にならぶ、映画をひっぱる刺激物ではありますね。
面白かったです。
小日向文世さんがすばらしいと思いました。
あ、映画の公開まで、あと58日くらい。(だいたい)