今日は、映画「野火」を見てきました。
塚本晋也監督による、第二次世界大戦中のレイテ島での壮絶な闘いを描いた作品です。
戦争の悲惨さを訴える…と言ってしまうには、誰と誰が闘っているのか、何のための闘いなのか、まったくわからない無惨な状態が描かれます。
あるのは、耐えがたい飢餓と攻撃される恐怖と絶対的な孤独。
よくある戦争映画で見られる、チームワークとか、勝った時の快感とか、負けた時の無念さえもない。
「○○を守るために、闘う!」というヒロイズムなど入り込むすきのない、極限状態です。
敵が誰なんだか、よくわからないし、何を守っているのかもわからない。
そもそも、味方のはずの日本兵ですら、もはや、なけなしの食料(芋)を奪い合う相手だし、お互いのむきだしの欲望を見せ合うしかない。
そういう意味では、人間対人間の、究極の闘い、めいてくる。
そこへ、時々、挿入される壮大な美しい南の島の風景。
生命力あふれるジャングルや、降り注ぐ太陽。美しい湧き水。
そのなかで、生死の渕を行ったり来たりして、ひとりさまよう、主人公。
まわりはおびただしい死ばかり。
自分も同じ状態に置かれたら、まともでいられる自信はない。
理性はぶっとび、生きるためだけに生きる、になる。
われ、ひとつの革袋になり、その袋を満たすために、ほかの革袋を殺して喰らう。
戦争の悲惨さ、というより、ばかばかしさが浮き彫りになってきます。
なんで、こんな笑うほど、ひどい目にわざわざ会わないといけないのか。
自然はじっとしているのに。
一方で、あまりに悲惨な描写が繰りかえされるので、それがエンタメ化してくる。
一種のホラー映画に見えてくる。死と無惨な死体がフェチ化していくようにも見え、そのあたり、評価が分かれるかと思います。
ということで、感想でした。
自分の映画の話も少し。
映画の特典シールのご紹介。
ノートに貼ってあるのが、「保護犬シール」です。
いずれ、チケット購入プレゼントにいたしますので、お待ちくださいませ。
しかし、一見、なごやかに見える私の映画も、ある種の不条理を描いておりますので、ちょいと「野火」につうじるところはあるかもしれないです。