山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

されどバブルな日々

小説の資料として、バブル期の証券マンのことを調べている。
資料を読むと懐しいのなんのって。
ああ、黄金の80年代って感じ。
ドンペリの泡がキラキラ。

当時、私もバブルの恩恵をたっぷり受けたと思う。
若くして結婚した夫は、制作会社を立ち上げ、その後、どんどん売れっ子になる監督ばかりを抱えて、まさに濡れ手に泡(バブルだかんね)状態だった。

仕事も思いっきり忙しかったけど、毎晩、酒池肉林(?)つうか、遊びほうけていた。
まあ、そういうことがきっかけで夫婦の危機へとばく進していくわけだけど、楽しかったのも事実。

バカ夫婦であった私たちを地元の銀行の支店長さんたちが、接待旅行に連れて行ってくれた。すでに、夫婦間は破れかぶれ状態だったけど、一応、夫が社長で私がフクシャだったので、しょうがなかったのね。

クルーザーに乗せてもらって、小さな島にあるリゾートホテルに行った。
出発時点で、私たちは大げんかしていて、支店長が「まあまあ」なんて止めたことを思い出す。
多分、あの支店長は今の私くらいの年齢。そう考えると複雑な思いだ。
銀行所有のなかなかよいリゾートだったな。

その後、
某所に億ションを買ったけど、わたしがその家に泊まったのは、たった1日だったなあ。
久しぶりに家に帰ったら、別の女の服が並んでいたりした。
その女とも大げんかした。(天下の女子アナさんだったわね)

このマンションを売るときも、不動産やを前にして、夫と大げんかした。
買い手は、某省庁を退官したVIP待遇のおやじで、不動産やは、私たちのような若くていかがわしい夫婦が元の所有者とわかると、買うのをやめるのじゃないかとひやひやしていた。

それでわざと契約の日には、派手なヒョウ柄の服で出かけたりした。
当時は、よく「ホステスか」と言われるような服を着ており、すべてが末期状態だった。
契約の日に、VIP待遇の奥様が、私にものすごい軽蔑の視線を向けたことを思い出す。

と、バブルの頃を思い出すと、「けんか」ばかりが浮かんでくる。
楽しかったはずなのに、いつもけんかしてたなあ、誰かと。

そうそう、あの頃はいつ刺されてもおかしくないとも考えており、
(今思うと、そんなことを普通のひとが考える方がおかしいのだが)、
常に後ろを気にして歩いていた。

たいてい、朝まで飲んでいて、一度、どこの店からも追い出されて公園で飲んだこともあった。
ベンチで友達と寝転がったまま、ワインをボトルごと回し飲みしてたら、近所の幼稚園の子供たちがやってきて、先生が「見ちゃいけません」なんて言って、子供を守ってたな。

よく生き延びたなあ。すっかり忘れてまっとうな庶民生活にいそしんできた。
最近では、税理士さんに心配されるほど、貧乏になり、思えば、上り下がりの激しい人生である。

資料を読むと、少子化も登校拒否も少年犯罪も学力低下もすべて、バブルとその崩壊が原因である、なんて書いてある。
そうなのかなあ。

自分も思いっきりバブルに踊らされた人間だけど、じゃあ、今の自分もバブルのせい?
雑誌宝島に、「80年代はスカだった」っていう特集があったけど、
スカでもなんでも、その時代を生きてしまったんだからしようがない。

今では、全部がいい思い出。(バカやってばかりだったけどさ)
しかし、人生は続くのだった。
これからどうなるの?