山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

IT長者と神頼み

NHKドラマ「ハゲタカ」に、松田龍平扮する、IT長者が出てくる。彼は、自分のオフィスに大きな神棚を置き、信心深い。それを見て、誰かが(柴田恭兵扮する、企業再生士だったか)、「IT関連企業のトップは、信心深い人が多い。それは、自分たちのやっていることが、虚業なので、不安があって、神頼みに走る」みたいなことを言う。一瞬、納得する。が、次の一瞬に「そうか?}と思うのだ。

私の仕事はテレビのディレクターと小説家と時々脚本家であるけれど、虚業といえば、どれも虚業である。テレビだって小説だって、この世になくてはならないものではないし、実物感は希薄だ。だからといって、私はあんまり信心深くないし、雑誌の星占いなども読まない方である。もちろん、同じく虚業の芸能界では、信心深いひとは多いけど、だが、しかし、出版界だって、虚業だし、というか、今の日本で、虚業じゃない仕事のほうが少ないのではないだろうか。

もっとほとんどのひとが、農業や漁業という、実業(っていうのかしら)、虚業じゃない仕事についていた時代、今よりもっと多くのひとが宗教に深く関わり、つよく信じていただろうと思う。その意味で、虚業に関わると不安で、信心深くなる・・というのは、一見、もっともらしいけど、よおく、考えると、そんなこたあないと気づく。

ITを虚業というけど、テレビだって、出版だって似たようなものでしょ。けど、信心深いひともいればそうでないひともいるわけで。ITのひとをひとくくりにして、虚業扱いし、「不安なひとたち」風に言うのって、どうなのかな~と思った次第でした。

もちろん、時代の閉塞感みたいなものがあるから、スピリュチュアルとか、前世とやらがはやるのでしょうけれども。そういえば、昔、前世占いっていったことがある。(占い、信じないと言った舌のねもかわかないけど)、その時、「前世は、宮中で女官たちに読み書きを教える女性だった」と言われた。悪くない言われようで嬉しかったけど、要するにそのひとらしい感じをきっと言うのだろうなあと思ったのだった。「女はずっと女なんです」とも言われ、「どこにそんな根拠があるのか」「例えば、ハーフの場合、前世はどんなことになっているのか」などと質問したくなったが、やめた。

しかし、その時言われたことは2つほどあたった。「離婚します」「子供はもたないでしょう」・・まあ、当時からそんな風情であったのだろうから、これも当たったとは言い難いけど。

そんなわけで、虚業と信心について、ざっくり考えたことを書きました。
合掌。