山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

本当はきつい現実

ずっと見たかった「空中庭園」を見ました。
原作は角田光代さんだし、監督は豊田利晃さんだし、(『青い春』が有名だけど、これは未見で、「アンチェイン梶」が好き!)、主演は小泉今日子さんだし、かなりの期待度でしょ。

ところがさ、ご存じのように、豊田監督、大麻だったか覚せい剤だったかの所持で逮捕されちゃって、一時は公開が危ぶまれたのでした。でもってユーロスペースで公開。

いやあ、よかった。この監督ってつくづくすごい。かっこいい。たぶん、女性にもてるひとでしょう。女に対する子供っぽい憧れが全然ない。女子高生が制服着て出て来るだけで、クラクラして過剰な思い入れしちゃう男多いけど、もてるひとはさ、そういうところがないんだよね。

30過ぎて、10代の女子に過剰に思い入れしちゃうひとって、「もてません」って申告してるようなもんだよね。(近所にいるけど、そういう♂)

「トレインスポッテイング」のダニー・ボイル監督にタッチが似てる。絵画でいうと、ゴッホに似てる。色使いの過剰さと思い切り良さが。あと、ついて来れない奴はついて来るなって感じのつきはなした演出。

テレビドラマみたいな邦画が増えて、最近食傷気味でしたが、これは映画じゃなきゃできない映画。

板尾さんも良かったなあ。

「愛情」や「欲望」や「家族」って言葉のもつ、すべてのばかばかしさを描ききっていたし、一方で、ばからしくても切れない辛さもにじみ出ていた。愛情って、とりあえず、「朝までに家に帰る(浮気しても)」「家族のために働いて給料をいれる(しょっちゅう仕事、ずる休みしても)」程度のものなのではないか、と問われているようでした。たぶん、ほんとにそんなもんなんだよね、愛なんてさ。その程度でいいじゃん。

しかし、こういう辛口の作品はそんなに当たらないんだよね。監督が逮捕されなくても同じだったかもしれないなあ。だって、たくさん客を集める映画ってさ、幼稚なものが多いからね。とほほ?