山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画「スラムドッグミリオネア」

今日は、「スラクドックミリオネア」を見に行った。

「トレインスポッティング」で衝撃を与えた、イギリスの奇才、ダニーボイル監督作。「ザ・ビーチ」とかもクールで好きだった。けど、ダニーさん、年々、優しくなっていくというか、わかりやすくなていくというか。結婚して父親になったせいなのかなあ。

そんでもって、「スラムドック~」は、今期のアカデミー賞8部門も受賞している。インドのスラム出身のまったく教育を受けていない少年が、テレビのクイズ番組で、ミリオネア…億単位の賞金を獲得するというお話。クイズの質問と答えがそのまま、彼の人生と重なっていく。スラムで育つ悲惨さがあまりに強烈なので、クイズの答えとそれが偶然重なっていることの、『ご都合主義」について、考えるすきを与えない。スラムに暮らす子供時代の演技もすばらしいし、映像もワンシーンごとに濃密で、つい引き込まれる。

けど、いつもどこかで、「わかりやすすぎじゃないの?」とつっこまずにいられない。貧しい少女は売春婦になるし、男はギャングになる。涙の再会と、ギャングの兄の、自分の命と引き替えに、弟の愛を守ろうとする姿。日本のやくざ映画に通じるような兄弟愛があったりする。エンターテイメントとして、とてもよくできていると思う。最後のシーンではちょっとうるっと来たし。

でもなあ。

「でもなあ」なんだよなあ。これもある種のおとぎ話。大作映画っておとぎ話なのかなあ、もはや。
どうしても自分は、リアルなもの、たとえ苦くても、現実に近いものがすきだなあ。いや、面白かったんだけど、充分。

こんな風に、あーでもない、こーでもないと考えつつ、帰路につきました。