山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

心洗われる瞬間

今日は、ときどき担当する、美術番組のスタジオ収録でした。

この番組用のVTRが完成したのは、土曜日の深夜2時過ぎ。韓国から戻って、割と短期間で集中して作ったのですが、最初はいい調子と思っていたのが、出来上がりの頃になって、集中力がとぎれてしまって、土曜の深夜に出来上がったあと、たいへん落ち込みました。

これだけ仕事を詰め込んだのは自分ですから、自分を責めるしかない。できると思ったから引き受けているわけですが、そして、もちろん、できあがっているし、プロデューサー各位からOKも頂けているわけですけど、自分のなかでは忸怩たるものがありました。

やっぱり、体力が続かなかった分が、編集の甘さに出ている・・そう思いました。
翌日は、精神的にハードなことがあり、今日はスタートから落ち込んでいました。そして、考えたのは、このままではまずい、ということでした。

つまり、このスケジュールのなかで、次の番組に突入して、また、中途半端な出来上がりにはしたくないと思った。そこで、あらたにスケジュール調整を始めたりしました。

そんな落ち込んだ気分のなか、自分の担当する部分がスタジオに流れました。わずか20分ほどの内容ですが、ゲストの俳優さん、女優さん、絵描きさんたちは、かなり真剣に見ているではないですか。さらに、みなさんの目に涙が。

私の担当するコーナーが終わったら、ゲストのみなさんは涙ぐんでいました。そして、しきりと「よかった」「感動した」と言って下さるのです。

もちろん、この「良かった」というのは、私の演出に向けられたもの、というより、とりあげた画家の物語に感動した、という意味ではあります。

でも、この瞬間にそれまで自分を覆っていた憂鬱が全部ふっとびました。

自分のつくったものに、涙ぐんでくれたひとがいる、見て良かった、知って良かった、励みになった、などなどの感想を聞くにつけ、昨日まで自分をしばっていた嫌な空気がぱーっと晴れて行く。

こういう瞬間に、しみじみ、この仕事をしていて良かったと思います。心洗われる瞬間です。
テレビの仕事の魅力、こういうところにもあります。

スタジオを出ると、すっかり寒くなっています。でも、気分は明るかった。

仕事はやはり、自分を救う。
そんなことをしみじみ思いました。

参考までに番組は、NHKBS-2 「迷宮美術館」でした!