今日は、高円寺の座まで、舞台[平成戦後少女」を渋谷昶子監督と一緒に見にいった。
作・演出は、映画監督で友人の高原秀和さん。
今回の舞台は、2006年の旗揚げ公演の再演。
この時も見ている。この時の主役の女子を気に入って、当時連載していた「MISS」の小説のモデルをやってもらったほど。
その後、彼女は、某制作会社に入って、今は、元気にテレビ番組作っているけどね…。美人ADとして…。そのまま女優になればよかったのに…と思わないでもなかったけど…。
…と話題がそれました。
今日あらためて見て、まず、設定がとてもうまいなーと思った。
ざっくりあらすじを説明すると、77歳になる初音(はつね)という女性が、主人公のひとり。
初音は戦争中に青春を過ごし、女とはがまんすること…と教えられて生きていた、ある種典型的な“おばあちゃん”である。
夫は浮気を繰り返し、それでも我慢して、子育てと家事をやってきた。夫が亡くなり、やっと自由になった頃にはすでに老女になっていた…わけである。
そんな初音がある日、突然、20歳の肉体を手に入れる。
初音は、孫のジュン(女子)を頼って上京し、孫の家に同居する。孫は、女子大生で、気に入った男とはすぐにやってしまうような女の子である。しかし、スレているわけでも、とりたてて不良なわけでもない。ただ、それでいいや…と思っているような、達観した、今ふうの女の子である。
ジュンのまわりにはいろんな子がいる。幼なじみで、イケメンなのに、簡単に女子と寝たりしない男。不埒な男にお金を貢いでいる女子。ジュンを熱愛しているバイセクシャルのAV監督の女性。それから、「普通が一番」ととなえる、宗教団体のような奇妙な女子だけのグループ。
さらに田舎からジュンの母親が上京する。彼女もまた、がまんして、妻・母の役割りを演じてきた女性である。夫は風俗にはまっていて、すでに関係は冷え切っている。もはや、女の時間はわずか…と考え、「熟女AV」に出演すべく、東京に出てきたのである。
このような三世代の女子が同居して、それぞれの恋愛観…いや性愛観かな…を吐露していく。
ふうむ。この設定はとても秀逸だと思った。
肉体が若返っても、気持ちまで変えることはできない初音。AVに出て吹っ切れていくその娘。母親がAVに出たとしり、動揺するジュン。
非常にフェミニズム的問いかけに満ちた作品だった。
高原氏は、AVの監督もやっているので、AVの現場を描かせるとさすが…である。エロスを追求する場でなにが起こっているか、どんな人たちが集まっているのか…ってことへの視線が深いのである。
やっぱり、「性愛とはなにか」ってテーマになっていたんじゃないかな。
見終わって、渋谷監督(79歳)としばし、女性の人生について、話しあった。
渋谷監督は、最近新しい会社を立ち上げたばかりだし、夏にはイタリアロケに行くし、NHKのドキュメンタリーや、映画の制作も現役でなさっている方なので、この舞台の主人公のように、「がまんばかりしてきた、おばあちゃん」ではない。
それでも、女性が生きることの大変さは熟知されているので、触発されていろいろ話せて楽しかった。
作・演出の高原さんは、ホント、女なんじゃないかって思うほど、時に、女性を上手に描く。女の側にいると見えない部分に不思議と目が行くようだ。でも、その視線が、いわゆる“女ぎらい=ミソジニー”ではなく、やさしいんだよな。
ま、女好きなんだと思いますが…。
そんなわけで、作っているひとは作っているなーと最近、さぼり気味の自分も啓発されました。
ちゃんとしなきゃ…w。