山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

最近見たものまとめ

備忘録も兼ねて、最近見たモノを書いておきましょう。

 

映画「プラン75」@Amazonプライム

いやー恐ろしかったです。

75歳になったら自殺できるシステムのある社会を描いていますが、画面もずっと暗いですし、「年老いて、仕事なくて、お金なくて、友人や家族がいないと死ぬしかなくなる」という気配をこれでもかと見せて下さる。いえ、希望のようなものも描かれているので、それで終わりではないですが、先のことを考えるとすっかり恐くなりました。

 

同時に、これは、多くの若いひとの間で共有されている感情なのではと気づき、さらに恐くなりました。つまり、「年取ったひとは早く死んでもらっていいですか」という感覚ですね。

成田悠輔さんが「老人の集団自決」を薦めるような言動をして炎上していますが、それも含めて、「役に立たない老人は早く消えてほしい」という考え方が、突飛なものではなく、共有される感覚として、社会のなかに通底しつつあるということ。

 

そういう背景がないとこのような映画はなかなか発想されない。

しかし、私などは、あまり気づいていませんでした。「老害」という言葉は耳にしてきましたが、まさかこれほど共有された思いであったとは。

それをくっきり見せてもらいました。

 

映画「燃ゆる女の肖像」

「プラン75」を見た後では、ひそやかな燃えるような恋の思い出はむしろ平穏に見ることができました。やたら女優さんたちが美しい。整いすぎていて、やや遠いものを感じました。

 

はっ、大事なものをいくつも書き忘れました。

映画「SHE SAID」

#ME TOOのきっかけとなった、ハリウッドの映画プロデューサー、ワインスタインを性暴力で告発するまでの、NYタイムズの記者2名の奮闘を描く作品。

淡々と事実をつなげていく手法と、性暴力のシーンを描かないという強い意志を感じて、

かっこいいなーと思いながら見ていました。

性暴力のシーンって、それが告発のためであっても、そのシーンそのものが性的に消費されてしまう可能性があって、真に迫れば迫るほど、それを強めてしまう。

だから、描かないという選択はとても大事。

強烈な性描写を「映画のウリ」にする場合もありますから。あたかもそれが何かを映し出したかのように賞賛されて。

そういう可能性を充分知った上で、拒絶している潔さに感服しました。

2週間で公開が終わってしまったことが悔やまれます。

続けて、「SHE SAID」のマリア・シュラーダー監督が撮った映画「アイム・ユアマン 恋人はアンドロイド」も見ました。

こちらも苦いけれど、まだ、誰も描いてこなかったテーマに斬り込んでいて心に迫りました。

女性主人公がアンドロイドの恋人と出会うお話です。これを見ていると恋愛や欲望っていったいなにか?という本質に迫られてしまいました。よくできたアンドロイドがいたら、OKなのではないか。(いや、そうでもない、という反語的な)

マリア・シュラーダー監督はドイツの女優さんであり、脚本家さんでもある。

Netflixで見た「アンオーソドックス」も素晴らしかったし、独自の視点としっかりした演出で

見応えのある作品を作る方だなと。

でも、なぜ「SHE SAID」はハリウッドの女性監督が撮らなかったのか、と。

 

UNEXTで見た「ホワイトロータス」面白かったー。

高級リゾートホテルで起きる群像劇ですが、辛らつで辛らつで。

シーズン3を心待ちにしています。

 

続いて「キリングイブ」もビンジしました。

滑り出しは面白かったし、サンドラ・オーは楽しくて魅力的なキャラクターだし、ジョディ・カマーさんの美しすぎる壊れっぷりと絢爛な衣装は惹かれましたが、回を経るごとに「それはつじつまが合わなさすぎでは」という気分になりました。

評判のよいものを続けようとするとシナリオに無理が出てくる、という悲しみを感じました。

 

あとはNetflixで「the sinner」シーズン1をビンジしました。

ううむ。

暖かくなってきたので、映画館に行きたいですね。