山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

辛らつでも真実な。

あまりに忙しくて、ブログ書く時間すらなかった。

いかん、いかん。こういう風になっちゃだめだ。

それもあと2日で終わる。

今日はちょっと余裕があったので、家に帰ってから、ツイッターをやっていた。

そしたら、小説家で評論家の小谷野敦さんのアマゾンのレビューを知り、思わず読んでしまったら、これが面白いのなんのって。

というか、基本、超辛口。

歯に衣着せぬっていうんでしょうか、同じ日本の小説であろうと、映画であろうと、名作と言われているものであろうと、向かうところ敵なし、みたいに、ずばすば斬っていくのである。

その小気味良さ。

いやいや、もちろん、斬られているのが自分じゃないから、そんなことを言ってられる、とも思う。

しかし、一方で、常日頃から私も「これは傑作と言われているけど、ホントにそうなの?」と思っていた作品が俎上にあげられているので、痛快なのであった。

それに、あまり知られてないけど、これこそいい作品なんじゃないの?どうして、みんな評価しないの?という作品が、きっちり褒められているので、そこもまた、嬉しかった。

要するに趣味が似ていた(おそれ多いですが)。

えっと、一例をあげると、芥川賞の候補作になったけれど、受賞は逃し、そして、著者はすでに逝去されている、「蝶のかたみ」。

三島由紀夫の愛人といわれた福島次郎さんの作品。

芥川賞候補とか三島由紀夫うんぬんのゴシップとか、関係なく、切なくなる小説だった。男性を好きになり、ぼろぼろの関係のまま続く物語なんだけど、そのちっとも美しくない姿が恋愛の、性愛の本質を描いているようで好きだった。

福島さんは、生前、新宿のゲイバーで1度、お見かけしたことがあり、勇気を持って、「すばらしい作品でした」といいたかったけど、怖じ気づいて近づけなかった。

その他、映画「息もできない」

日本でも韓国でも世界で認められた作品だけど、私はかなりきらいだった。

暴力礼賛だし、映画好きの多くのひとが、「暴力がリアルに描かれているとすごい映画」と思いがちなんだけど、その心をくすぐる作品だったから。

ぶ男で暴力男のくせに、清純な美少女がついてくるところがまた、映画ファンが好きそうなところだけど、ホントむかつく…できらいだった。

ああいうのが褒められちゃう、映画界ってだからきらいだよ、と思っていたら、小谷野さんの評価も辛らつで、胸のすく思いがした。

…とはいえ、自分はあそこまで、正直に書いてないなーとちと、反省した。フィクションならいくらでも、本気で本心で書いてるけど、特に日本の作家や監督のものについては、評価しない場合はあえて書かないってだけにしてきた。

だって、怖いんだもん。

でもさーなんかさーもっと正直に言ってかなきゃなーとは思った。

けどね。私がそのようにあまり辛らつに作品評を書かないでいることを、「もっと正直に書け」と言ってきたひとがいたんだけど、そのひとの作品について、正直に書いたら、突然、冷たくされることになったので、これだから、器の狭いひとは怖いよと思った経験もあってね。

そんなわけで、今夜は、レビューが読めて楽しかった。それに、読んでないもの、見てない映画で、高評価のものは見て見ようと思った。なにしろ、この方の批評、とても納得できるものだったから。

もちろん、同意できないものもあって、それは、キム・ギドクの映画。キム・ギドクは認めないぞー。

ということでおやすみなさい。