だんだん暖かくなって、気持ちもやや前向きになってきました。
さくらを見ると、今年のさくらをナツと一緒に見ることができなかったなーと思う。
こうして、毎年、見送ったひとを思う。
さて、備忘録として最近見たモノ、まとめておこう。
○映画「ザリガニの鳴くところ」
プロデューサーがリーザ・ウエザースプーンですから、フェミ的要素は期待したのですが、
なんというか、とても素晴らしかった。最初は、殺人事件の犯人捜しで始まるけれども、沼の近くに生まれて育つ少女の人生の過酷さと、しかし、自然の恵みの豊かさに圧倒されながら見る。沼のそばの家を捨てられないことに始めはいらっとしたけど、じゃあ、どこへ行けばいい?とも思えてくる。DVや育児放棄やアルコール依存やらあらゆる現代的な病を見せながらも、主人公の揺るぎなさに打たれる。「誰が誰を殺したか」とか途中、どうでもよくなる。
そして、ラストの回収のたくみさ。
一番心に響いたセリフは、
「自然界には善悪の概念などない」
というもの(このような意味のセリフ)。
見終わった後も何度も思い返してしまいました。
○韓国ドラマ「ザ・グローリー」
とりあえず、全部見た。いじめがテーマで、非常に壮絶。なんでここまでと思う。
途中で韓流っぽい恋愛がからむのもなんだか好き。
○映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
アカデミー賞につられて、久しぶりに劇場まで。
アジア系俳優さんたちが大活躍だし、見た目の派手さの裏側に、移民として生きることのたいへんさが描かれて、心を打つ。が、さすがに展開がごちゃごちゃしすぎていて、ここまでしないとだめなのかなーとちょっと複雑な気持ちになった。
映画「デボラ・ウインガーを探して」のなかで、
「ハリウッドでは女優は35歳までしか役が回ってこない」
みたいな指摘があったけど、エブエブの主演は60歳のアジア系のミッシェル・ヨーですし、たくさん受賞して、時代は変わりつつあると思えてそれにはぐっと来た。
○「東京SWAN 1946」
TBSドキュメンタリー映画祭の存在を初めて知って、見に行く。
監督は宮武由衣さん。テレビドラマ「ファーストラブ」がとても良かったので。
バレエにあまり詳しくないけど、宮尾俊太郎さんがとても魅力的だった。
作っていく過程での葛藤をもうちょっと見たかった。
○「魂の殺人〜家庭内・父からの性虐待」
おなじく、TBSドキュメンタリー映画祭にて。
実父から性虐待を受けた女性による告発をたどっていく。実父が登場したのには驚いた。
よく撮れたなあと。声なき声に光をあてるというか、ドキュメンタリーの基本のような作品。シンプルだけど、見ていると胸に迫るものがあった。
○ETV特集「沖縄の夜を生きて〜基地の街と女性達〜」
ああ、これもシンプルなのに力のあるドキュメンタリー。
これまで語ってこなかった人が、自分の話をする。夜の街で働いていたことを恥と思って、話せなかったひともいるという。でも、全然恥じゃないです、貴重な話です、どうか、聞かせてください、という気持ちになった。
語られてこなかったことをきちんと聞くことは本当に大事だなと思った。
登場する女性たちがみなさん、生き抜いたという感じで清々しく、頭を垂れたくなった。
○Euphoria ユーフォリア シーズン1,2
いやーつらくてきついお話でした。
薬物依存症の女子高校生が主人公でトランスジェンダー、同性愛や暴力、とにかく、いろいろなテーマが次々と出てきて、でも、あまり解決されることもなく進んでいく。
映像と音楽がやたらかっこいいだけに、絶望的な気持ちが半端なく。
主演のゼンデイアさんは依存症なのにずっとカッコ良くて、演技もすばらしかった。
しかし、10代からこんな感じだったら、残りの人生、どう生きるのかしらと思わせる、終末感がありました。
自分の性的志向を隠して生きる父親が出てくるんだけど、隠すことでどんどん辛くなっていくのがわかり、やはり、セクシュアリティーは人間にとってとても重要だとあらためて思いました。
○「女は冷たい嘘をつく」@Amazonプライム
タイトルだけみたら、女性蔑視っぽいけど、いやいや、しっかりしたフェミ視点の
作品でした。
○「POWER」@Amazonプライム
まだ、途中ですが、世界中で虐げられた少女たちが、不思議なパワーを身につけ、
性暴力とか理不尽な性差別とかと対抗していく作品。
もうなんというか、超絶わかりやすいフェミニズム視点爆発の作品。
でも、それが小気味よくて。サウジアラビアまで出てくるのだから、本格的。
というわけで、世界中でフェミ的視点の作品が展開されていて、頼もしいなあと思います。
日本ももう少しできたらいいよねー。
やりたいです。
と、これをまとめている途中で、作家の富岡多恵子さんの訃報を知り、
心が止まりました。
日本の女性作家でもっとも尊敬し、20代から30代にかけて、生きる支えでした。
手に入る著作は全部そろえたし、すぐに読みました。
そもそもフェミニズムに興味を持ったのも、富岡多恵子さんがきっかけでした。
「男流文学論」ふるえました。
それまで誰も言葉にしてくれなかった日本文学への違和感が全部書いてありました。
一度でよいからお会いしたかった。
なぜか、必ずお会いできるように思い込んでいた。
目が覚めたような気持ちです。
正直に言えば、富岡多恵子さんみたいな作品が書ける小説家になりたかった。
そのことを今更思い出しました。
まだ、間に合うかな。
ずっと作品を胸に抱いていきます。
ありがとうございました。