このブログを始めるとき、「ベストセラー作家へのまわり道」というタイトルをつけた。
ベストセラーになるのを目差しているわけではないけど、わかりやすい目標があったほうがよかれと思いまして。
すでにこれまであっちの道、こっちの道と歩んできた身ゆえ、「まわり道」というのもふさわしい。目的地にたどり着けば、それまでのどんな寄り道もすべて、「いろいろあったけど、たどり着いた」と解釈されるわけだし。
ところが、道は険しいね。
まわり道というのは、どこかのんびりして、楽しんで歩いている感じがする。しかしそれではどうにも現実にそぐわないと気づいた。正確には、「作家へのけもの道」ですね。
小説はたったひとりで書くことができるけど、ひとりでは本にできないし、本屋の店頭にも並ばない。よって多くのひとに読んでもらうには、いろんな力がいるのだ。もちろん、インターネットという発表の場がないこともないけど、やはり、「本」というメディアが望ましく、愛おしい。
それを実現するには、まさに「けもの道」なんである。
魑魅魍魎の跋扈する地を原稿という紙切れを抱えて、前へ前へ進んでいく。
あちこちに落とし穴あり、ライバルありだ。
そんなことをやっと2冊の本を送り出して、しみじみ思うのだった。
テレビのお仕事だって、けもの道だったけど、どこも同じね。
まっすぐ進むのはたいへんだ。
だからってあきらめている場合じゃないけどね。
我、けもの道を進むなり。その姿、すでにけものなり?