山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

極めて私的な幸福。

少し疲れると発揮される持病があり(詳細ヒミツ)、近所の個人病院へクスリをもらいにいった。

クスリを飲むとほとんどすぐに完治するのであるが、だる~くて、宙を浮いているような気分になるので、あまりよろしくない。ぼんやり、待合室で待つ。夕方で会社帰りの給与生活者や幼児とその保護者などで混み合っている。昼間寝ているような人間なんだから、みんなの迷惑にならないように、もっと早い時間に来るべきであったと後悔などしていた。そして、なんでこう、生きるって疲れるのかしら…などと生をはかなんでいた。

で、待合室にあった「pen]という雑誌を手にとったのであった。インテリアの特集号で、その病院に置いてある雑誌は、このpenだけなんである。その代わりいろいろなバックナンバーがある。とても聡明な感じのお医者さんがひとりで切り盛りしている病院だけど、彼の趣味なんだろうか。

そんなことはともかく、インテリアの特集号をぼんやり読んでたら、新刊紹介のところに、おお、自分の小説「しまうたGTS」が紹介されていた。へー知らなかった。しかもさーかなりほめてあるのねー。う、う、うれしい。ライターさんの記名記事で、もちろん、知らないひとだったけど、嬉しいねー。うれしさのあまり,そのページを引きちぎって持って帰ってきたよ。(嘘だよ、嘘、そんなことしねーよ。たった今、アマゾンでバックナンバー探して、注文したもんね)。

いやー運命みたいでしょ。そんな私の本の紹介記事なんて、たくさん書かれているわけじゃないから、滅多にお目にかかれないんですよ。知り合いの場合は教えてくれたりするけどさ、この雑誌もこのライターさんも知らんかった。ということは、頼んでもないのに、読んで選んでくれたってことだよね。新刊紹介も、テレビの番宣と同じで広告費をかけている新刊書は、売り込みがあって、紹介されていたりするわけだよ。そこらへんのからくりは本を出す側になって初めて知ったけどね。

まあ、そんなことはともかく、へとへとでたどり着いた病院で、自分の本について書かれた記事を読めて幸せでした。極めて私的な幸せ。ふう。現在も虫の息だけど、気持ちは少しだけ浮気向きです。そうだ、昨晩、コーマック・マッカーシーの「すべての美しい馬」という小説を読んだんだけど、ほんの五十年くらい前には、アメリカには野生の馬がごろごろいたんだなーって。ひとは野生動物と共存というか、野生を手なづけるような形で生活していたんだなーってことが、とても新鮮で面白かった。

自分の生活はリアリティがないなー。野生動物のいる世界にやはり憧れる。わたしのそばには、野生の狼から遠く離れた犬のミニがかわいく座っているけれども。わたしもミニも野生から遠く離れてしまったわ。

そんな犬のバナー。