山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

監督、ひとことで言うとなんですか?

知らなかったけど、来週はシルバーウィークとやらで、ものすごい連休らしい。

カレンダーを見て、初めて気づいた。「シルバーウィーク」って名前もどうかと思うな。まあ、五月のゴールデンウィークにかけているのでしょう。敬老の日もあるし、「ぴったりだ!」って発想したひとはヒザを打ったのだろう…。でも、なんか…あんまり好きになれない感じ。

しかし、命名って難しいよなあ。映画のコピーを考えたり、本のタイトルを考えるたびに迷うし、悩む。自分の好みは、直接的なものや、注目を集めやすいものではない…。以前に柄谷行人という作家さんが、「考察1」とか「考察2」みたいな、シンプルで飾り気のないタイトルをつけているのを見て、憧れたものだった。いかにも客を集めたい…!みたいなタイトルは恥ずかしいよなあと思っていたからだ。

が。

そんなことは言ってられない時代と環境になりました。かつてのコピーは、「おいしい生活」を始めとする、雰囲気ものというか、イメージを伝えるものが、よしとされたけど、現在の状況では、そういう種類のコピーや宣伝方法では、まったくお客さんに注目されない…ということになっており、コピーも、「激安!」とか「すごく泣けます!」とか「一番売れてる味!」といったような、「まんま」なものが望まれるようになりました。

情報が過多どころか無限になってしまった現在、「雰囲気で察してね」というような宣伝では、誰も振り返らず、大声で「俺はこれが言いたい!」と直情的に訴えないと多くのひとには届かないようです。

物事がものすごい勢いで、「わかりやすさ」や「簡単さ」を求めている。料理番組でも、「簡単にできる!」ってことが売りだし。

そんなわけで、迷い多き、悩み多き、昨今ですが、そして、「すべては海になる」なんていう、一見するとなんの映画かわからないような映画を撮ってしまって、いろいろ苦労しているわけです。これが、「余命一ヶ月の花嫁」とか「おくりびと」とかってタイトルなら、「そうか、あと一ヶ月で亡くなる花嫁さんの話だな」、あるいは、「ひとを送る仕事のひとの話だな」とわかり、説明もしやすいでございましょう。

あーあ。

ほんとにもう、たいへんです。が、まあ、そういうものが作りたかったので、なんとかわかってもらえるひとを増やすために、日夜努力するしかないのでありました。

わかりにくいテーマとひとで、すみません…。