山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

文庫「すべては海になる」できました。



映画になった、自分の小説、「すべては海になる」の文庫本ができました。11月11日発売です!

表紙は映画のポスターとほとんど同じデザイン。佐藤江梨子ちゃんが演じる、夏樹という名前の書店員が、独自の視点で選んだ本棚のまえに、主人公の夏樹と光治(=柳楽優弥くん演じる)が並んでいます。

そして、解説は、東京大学教授の上野千鶴子先生!!
日本のフェミニズムのトップランナーであり、「男流文学論」はじめ、文學にも造詣の深い、気鋭の社会学者でいらっしゃいます。

上野先生は、前から尊敬申し上げていたので、自分の小説ができるたびに、献本させていただいておりました。すると、時々、直筆の感想をいただくことがあり、書き手としては、非常に励まされてきました。なので、今回は勇気をふるって、解説をお願いしてみました。ところ、快く引き受けて下さった。…うれしかったです。…しかも、書いてくださった解説が、己の作品には過分の言葉が並んでおり、かさねてうれしいこととなりました。

なので、上野先生の解説を読むだけでも価値ある文庫本です。内容は、05年に書いたときとそれほど変わっていません。今読むと、「まだまだだったなー」と思うところもあるのですが、これもかわいい自分の作品です。未熟さも含めて愛しています。

この小説を書いた05年は、けっこうどん底の一年でした。これを書いている間に、父が亡くなり、その後の騒動で、テレビの仕事ができず、着手した映画の脚本も滞り、悪いことばっかりだった。その渦中にあって、息絶え絶えの状態で出版してもらったのが、この「すべては海になる」でした。

この子は生まれ落ちたときから難産だった…。内容的にも一部の方々からは憎まれるような、危ない記述が多かったので、苦難の道を歩むことに…。結果的には、結構評価されたんですけど、なかなかたいへんでした。

その小説が、自分の手を経て、映画にもなりました。おお、遠くまできたよなあ。本当にハッピーなことであります。生きているうちにひとつの夢が叶った感じです。

映画は原作といろいろ微妙に違いますので、原作を読んでから映画を見てもらっても、ちがう作品として充分楽しめるように作ったつもりです。

本も映画もぜひぜひ。

あーはるかかなたまで、来たんだ…。