山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

大阪の幼児遺棄事件に思う。

大阪で起きた、幼児ふたりが置き去りにされて亡くなった事件に胸を痛めている。

育児を放棄したという母親が、23歳という若さであることや、風俗店に勤務していること、ホストクラブに通い詰めていたことなどから、いたずらに彼女が責められないといいけど……と思う。

もちろん、幼い命を奪うことになってしまったのは、罪深いことだけど、23歳のシングルマザーがひとりで二人の子供を育てるのは、本当に大変なことだと思うのだ。

自分は子供がいないけど、仕事をしながら子育てして来た友人も多い。ひとりは、自分の母親と夫の母親の双方に近所に引っ越しして来てもらい、交互に預けて、育てていた。

また、シングルマザーのひとりは、保育所とベビーシッターでなんとか乗り切っていた。(彼女には、すでに両親がいなかった)。彼女は、同じ世代の女性からしたら、かなりの高給取りであったけど、子供が小学校に入るまでは、シッター代にギャラのほとんどが消えた…と言っていた。

つまり、強力に助けてくれるひとがいるか、もしくは、たくさんお金がないとやっていけない…というのが実情なのだ。

この事件を起こした女性が、風俗で働き始めたのだって、普通の仕事では、シッターを雇いつつ、働く…なんてことができないからだろう。

それだけ、若いシングルマザーは大変なのだ。

だったら、実家に助けを求めればいいじゃないか…という意見もあるだろう。でも、親と折り合いの悪いひとだっているだろうし、親のいないひと、協力を仰げないひともいるだろう。

事件を起こした彼女の親は、教育者だったようだけど、そういう立派な親だと、「頼みにくい」「説教されるのがイヤだ」という気持ちもあったんじゃないだろうか。

じゃあ、離婚なんかするな、とか、安易に結婚するな、子供を産むな…という意見もあるだろう。けど、子供のために、無理矢理結婚を続けることは、別の不幸を生む可能性もあるし、離婚するかどうか、子供を産んだら、うまく育てられるかどうか…なんてことは、やってみなければ、だれにもわからない。

問題は、やっぱり、シングルマザーでも、安心して働ける社会を作ることだ。具体的に言えば、24時間体制で子供を預かってくれる保育所や、自宅に来てくれるベビーシッターが、安価で、もしくは、無償で頼めること。

「少子化」「少子化」って騒ぐなら、本当に、保育所やシッターの補強をしたほうがいいと思う。

そして、もちろん、母親だって、子育て中だって、遊びに行ったり、休んだりしたいはずだ。仕事のためじゃなくて、遊びのためにも(たとえ、それがホストクラブへ行くのだとしても)、シッターが頼める仕組みであってほしい。

母親は24時間母親じゃなくちゃだめ…とか、女なら、母性があって、子育てできるはずだ…という根拠のない思い込みが、どれほどの女性たちを追い詰めるか。

この事件の犠牲者は、幼い子供たちだけど、この母親自身も犠牲者だとわたしは思う。シングルでも子育てできる環境があれば良かったんだ。そして、もっと早く、「弱音」を吐ける場所が見つかれば良かったんだ。

ホストクラブ通いながら、子育てしたっていいじゃないか。