「食用おやじ」はとても受けて、いろんな意見をいただいた。
なかで、出色だったのが、「SFにしなよ」ってやつ。
そこで、一句。
未来の東京には、美女を釣りにつかって、食用おやじを集め、
なんらかの需要にこたえる食用おやじ工場があった。
そこら逃げ出した一匹の食用おやじが主人公。
こいつがさあ、みじめで見栄っぱりでバカなんだけどさ、どっか憎めなくて、若いねえちゃんにすぐだまされるんだけど、最後は工場を爆破して、他のおやじたちを解放するんだよね、というストーリーを考えたりしました。
ま、相手が漫画の編集者だったので、こういう展開になるわけでした。
けど、私は一応、文学のひとを目指すのだ!といばってもしかたないので、
現実的なお話。
それは現存する逆・食用おやじ。
彼のところには、夜毎、美女達が彼に会いにやってくる。
もちろん、彼は彼女達に服を買ってあげるわけでも、豪華なお食事をご馳走してあげるわけでもない。どころか、彼女達はお金を払って彼に会いに来るのだった。
というと、そのひとってホスト?
またはすっごいハンサムなんでしょ、
って思うでしょうけど、いえいえ。
彼は、都内某所でバーを営む50代のおじさん。
前の仕事がマスコミ関係であったため、店には関係者が多い。
しかも圧倒的に女性。
負け犬系のキャリア女性のほかに、食用おやじ垂涎のモデルさん、女優さん、アイドルちゃんなんかも来るんですよお。
なにしに来るかといえば、彼と話しにくるんですね。
仕事のこと、恋愛のこと、なんとなくつまんない毎日のこと。
そんなことを話すために、ふらっとその店に立ち寄る。
で、彼と話して帰っていく。
これだけ聞くとさ、食用おやじ系のひとは、
「そんなバーテンダーなんかうらやましくないさ。だって、俺はちゃんとした会社のエライさんだし、そんなんで女の子と話せたってしょうがないしさ」
と侮蔑の文脈で答えると思うけど、それは大間違いなんだな。
これはほんとに書いていいかちょっと不安だけどね、彼から聞いた話。
彼は店にくる女性たちから、ほんと、よく誘われるそうです。
つまり、お店終わったらどっか行きませんか、って。
(どっかがどこを意味するかは聞かないでね、そんなことわかるよね)
「そんなん、もてないブスか、年増だろう」とまた、前出のひがみっぽい食用おやじは言うかもしれない。
まあ、バー経営のもてるおじさまは、「ブス」とか「年増」とかいう言葉をそもそも使わないけど(だから女性にもてるんだよねえ)、そんなひとはあまりいないようです。
彼の集計によると誘ってくるのは20代の女性が殆どだそう。だいたい○日に○人の割合で・・ってこれは真実を知ったら食用おやじが憤死するので書かないね。
彼がやっているのは、ただ、話を聞く、というだけ。
そして、彼女達が求めているのは、恒久的な恋人ではなくて、その一夜だけそばにいて、優しくしてくれる(ついでに言うと口の固い)ひと。
あとくされなし。
彼はその後、彼女を追いかけないから、もう一度会いたければ、彼女は店に来ればいいだけ。
なんて美しいシステムでしょう。
これからますます働く女性が増えるとね、こういう場所は必要になると思うの。
誰にでもできるお仕事じゃないけどね。
「こんな楽しい仕事ないよ、正直な話」と彼は笑うのだった。
確かにこのひとはもてるので、この店だって、多くの働く女性が出資しているんですよね。
(って私も少し出資している)
そんなわけで、お金をつかわず、多くの女性からもてるある男性のお話でした。
この話をするとね、「じゃ、俺もバーやろうかなあ」という男が必ず出てくるけど、
よいこはまねしないでね。
お金払って、おねえちゃんに遊んでもらっているのだって、楽しいなら、それでいいと思うけどね。
いいじゃん、食用おやじだって。という気持ちはある。
それはなぜかというと・・長くなるので、続きは明日。
晴れ晴れと遊ぶ、っていうのがやっぱりいいと思うなあ。