山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

年の差なんて。

寺島しのぶさんが出ているので、映画「東京タワー」を見に行く

黒木瞳さん演じる女性は41歳で、その愛人の岡田准一くんは21歳、
寺島しのぶさん演じる主婦は35歳で、その愛人の松本潤くんもまた、21歳という設定。

映画の内容はさておき、このように、女性がはるかに年上でしかも結婚している、という設定の恋愛映画が日本でも撮られるようになったことをまず、喜びたいと思います。
(そして、結構ヒットしていることも喜ぼう)

実は、女性が40代であっても20代の男性とつきあう、恋愛するのはそれほど難しいことでも珍しいことでもありません。
実際、40代の友人(女)で20代の恋人(男)をもっている友人は複数います。

が、こういったテーマがなかなかマスメディアにのぼることはこれまであまりなかったのですね。

なぜでしょう?

はい。よいこはもうお分かりですね。

マスメディアの上の方で、決定権をもっているのが、「おじさま」たちだからです。
だって、これじゃあ、おじさまの出る幕、ありませんもの。

おじさまたちの嫌いなものは、「若くない女」と「若い男」です。
ですから、やつらがどうなろうと知らないし、知りたくもないし、見たくもないわけです。

よって、これらの物語が成文化されることは少なかったわけです。

しかし、作家/江國香織さんのヒット、脚本家/中園ミホさんの活躍、女優/黒木瞳さんの大成功、という40代女性(=おじさんにとっての、関係ね~興味ね~おばさんたち)の快挙によって、事態は変わり始めたのです。

つまり、「お金儲かりそ~な」予感が、金儲けに敏感なおじさまたちを動かしたわけです。

「なんか、知らんがのう、金が儲かりそうじゃけん、おばさんと少年の映画でもつくってみるか、わしは絶対、見ないがね、うっほほ」
(こんな話し方する、おっさん、いないか。あくまでイメージです)

そして、このような映画が成立した。
とてもとてもよいことだと思います。
(たとえ、背景がどうであれ)

この映画を見て、40代の女性も(もちろんそれ以上の方も)、あ、私もまだ、恋愛していいんだ、と目を覚ます。
20代のおぼっちゃまたちも、ふうん、年上っていいかも、と考えはじめる。
これまで恋愛の対象でなかったひとたちがにわかに、視界に入ってきます。

それは次第に、世論つうか、世の中の常識つうもんを微妙に揺り動かし、変化させていくわけです。

現実は芸術を模倣する。(あるいは逆も可)


マスのメデイアで描かれることで、40代の人妻と20代の少年との恋愛は、「認知」され「承認」され、結果、安心して手を出せる「関係性」として「大衆化」するのです。

それは、明治時代に、小説の力によって、「自由恋愛」が大衆化したのと同じです。

そして、今日もひとつ、古い常識が死にました。

おじさま、心配しなくても、大丈夫ですよ。家に帰れば、まだ、あなたの奥さんはいてくれますって。
(あれ?すでに捨てられた?それは失礼。)

まあ、そう取り乱さないで。バイアグラだってあるんだし。

ふふ。
でもほんとは年の差なんてどうでもいいことなんですけどね。
ふふ。

(余談ですが、ふたりの少年/岡田准一くん、松本潤君、かっこいい、しびれました)