山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

アラフォーの恋。

久しぶりに「四つの嘘」を見たら、すっかり展開が変わっていました。

詩文さん(=永作博美)はラブホテルに勤めているし、BM(だった?)に乗った歯医者に求愛されているし、そうかと思えば、マキコ(=寺島しのぶ)は、娘の家庭教師とつきあっているし、ダンナは浮気しているし。さらに、ネリ(高島礼子)は、詩文の元彼とつきあっているし…。ちょっと見ないうちにすっかり様変わりしていた。

それにしても、このドラマはきっと一部の女性にとっては、気持ちのよいものなのではないだろうか。20代の美形な青年たちが、目の前に10代の美少女がいても、あえて、40代の彼女たちを選ぶのだから。(理由はなんであれ、つきあっているのは事実)。

同じような志向のもの…中年の男性が若い女と恋におちる…というストーリーはこれまでもかなりあった。というより、定番と呼んでもいいかもしれない。ドラマでも映画でも小説でも、取りたてて取り柄のない中年男が、美少女と恋におちる…あるいは、なんらかの関係を持つ…というのはよくある話なのだ。

よくある話なのに、繰り返し、描かれるのは、簡単なことだ。映画やドラマならプロデューサー、小説なら編集者が、ようするにそういった物語を夢見ている、中年の男=オヤジだからだ。オヤジたちは、「こうなったらいいな~」と思っているので、そういうストーリーを作るのだ。自分の夢を託す。あるいは、現在、気持ちを寄せている年下の女性が、時々つきあってくれるのは、決して自分の地位や名誉やお金のせいだけではなく、男自身の魅力によってである…と信じたいために。自分を納得させたいために。そして、結局のところ、社会で権力を持っているのは、オヤジなので、彼ら好みの企画が成立する。…ゆえに日本にはこの手の物語があふれていた。

しかしっ!

時代は変わりつつあるなー。中年女性が年下の美形男子とくっつく…という物語が、テレビのプライムタイムで放送できるようになったのである。かつては、テレビドラマに中年女性が出るとしたら、「家族もの」でしかありえなかったのだ。「お母さん」という役所だ。中年の女の恋愛…これほど、オヤジの興味の対象外のものはないのだ。

なので、「四つの嘘」ではどんどん40代の女性にはじけて、いろいろ遊んでほしい。そして、実際に40代になっても20代の男とつきあうのは、実はそれほどハードルの高いことではないのだ。隠蔽されてきた事実…あるいは、単に物語にならなかっただけかもしれないね。

ところで、

現在、キャンディス・ブシュネルの「彼女たちが欲しいもの」読んでます。SATCの原作者の最新小説です。はじけていて、面白い。これも欲望を持った正直な女たちのストーリーである。なんか元気が出てくる…。