山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ワインを見ればわかること

ワインセラーを見るとその持ち主のひととなりがわかる。
本棚、クローゼットも同じ分類だと思う。

昨日に引き続き、映画「サイドウエイ」のお話を少し。

この映画は、さえない中年男(作家志望の英語教師)と、
かつてのハンサム男優(結婚を一週間後に控えている)のロードムービーであるが、もうひとつの主役がワインである。

物語のあちこちに、象徴的にワインが使われている。
なかでも出色なのは、61年のシュバル・ブランの使い方なんですが、これはネタばれになるので、ここには書かない。

そしてもうひとつ、やられた台詞がある。
離婚経験のあるワイン通の女性のひとこと。
「彼のワインセラーを見たら、つまらない男だってことがわかったの。だから離婚したのよ」
(記憶に従って書いてるので、詳細は違うかもしれないけど、主旨はこんなこと)

この意味するところは、お金にあかせて、高くて有名なワインばかりを買い集めているけど、そこには彼の個性がなく、ようするに、ほんとはワインの価値をわかっていない男だった、ということでしょう。
(勝手に解釈)

このようにワインに限らず、コレクションを見るとそのひとがわかるってことがあるよね。
まあ、妻を見れば夫がわかる、ときたら、妻もコレクションかい?と返したくなるけど、
そのひとが選んだものは全部、そのひとのコレクション、と言えると言えば言える。

恋人も仕事も住む家も友達も、そのひとのコレクション。
ワイン通であると、ワインセラーを見ただけで、ワインのよしあしではなくて、そのひととなりまで見えるのでしょう。

これに類するものは、本棚、クローゼット、下駄箱、食器棚、CDラックなどがあるね。
どれもその分野に詳しいひとがみれば、それを集めた人の性格を当てられるでしょう。

私の場合、やはり一番気になるのは本棚だけど(本が好きだから)、たくさん本が並んでいても薄っぺらい印象の本棚もあるでしょう。
お金を出せば、何冊でも本は買えるけど、やっぱりそこに個性や方向がないと、魅力的な本棚はできないだろうな。
そして、「あなたの本棚を見てたら、離婚するって決めたの」なんて言われてしまうかも。

えっと、なんの話を書こうとしていたのか、混乱したけど、私の書いた「ベイビーシャワー」は今、どんなひとのどんな本棚に並んでいるかな。

勝手な想像だけど、私の本を買ってくれるようなひとは、女の人で、ちょっと堅いひとで、堅いからこそ、男のひとに甘えるのが苦手で、でも、ほんとは傷付きやすくて、
おしゃれで、きれいな服やおいしい料理が好きで、働きもので、そんなひと。

そんなひとの本棚に自分の本が並んでいたらいいな。
そして、その本棚をみたひとが、「こいつっていい奴だな」って思ってくれたらいいな。
間違っても、こんなやつとは離婚だ!ってことにならないでほしいな。

でも、大丈夫、私の本を好きだっていってくれるひとって、たいていすでに離婚してるから。(失礼しました。けど、ほんとに多いんです)

私も離婚してるし、たぶん、なにかが響きあうんだよね。
えっと、ワインセラーに寝かしておきたいワインのように
長く愛される本が書きたいものだなあ。