山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ブリジット・ジョーンズの日記(2)

そんなわけで、昨日の続き。
タイトルは、「マドンナはどうなった」です。

映画「ブリジット・ジョーンズの日記2」(以下BJ2と略)において、「マドンナ」が実は重要な役回りを担っている。(と、勝手に解釈)

ブリジットが恋人のマークと連れ立って出かけた弁護士会の集まりで、マドンナに関するクイズがあるが、このやり取りを見ても、ブリジットがマドンナのファンとまでいかなくても、少なくともマドンナに注目してきたってことがわかる。
マドンナってあの、「ライクアバージン」のマドンナね。
自分のことを「マテリアルガール」と呼んで笑うことのできたかっこいいマドンナね。

だって。
マドンナは「最初の女」だったと思うから。
最初っていうのはさ、20世紀が生んだ初めての、自分で稼ぐことができ、自分の才能を信じて、それを開花させ、なおかつ、きれいで、セックスについて堂々と語ることのできる、
人類始まっていらいの「女」だったんだと思う。

彼女ほど自己鍛錬を怠らず、一方で自分の欲望に正直だった、成功した女はいないと思う。
よく、マドンナはマリリンモンローのコスプレをしてたけど、マリリンモンローなんて、40歳を迎える前に、殺されてしまった。
(19世紀のニンフォマニアは女として使い物にならなくなる前に、自殺したり、殺されるって運命は決まってた。これは私がずっと研究してきたテーマで19世紀の西洋文学のひとつの流れでもあって、「アンナ・カレーニナ」からはじまて「マノン・レスコー」「ボワリー夫人」とみんな若くして、死んでます)

けどね、マドンナは生き延びたんだよ。全世界的に支持されてね。
映画「BJ2」のなかで、ブリジットはタイで投獄される。
(誤認逮捕されて刑務所に行くのね)
そこでも、女たちをつなぐのはマドンナなんだよ。
この刑務所でのやりとりに、私は泣いた。

「私の彼氏はひどいの」って女たちが言い合う。
「彼は私に売春を強要するの」「私にヘロインを打って、殴って、私のお金を持ち逃げするの」・・そんな告白をするタイの女性から、ブリジットは質問される。
「それで、あなたの男は、あなたにどんなひどいことをしたの?」 まるで自分に聞かれているみたいだった。
確かに、ロンドンに暮らすシングルガールの悩みなんて、タイの売春婦に比べたら、贅沢もいいところでしょう。日本だって、50年くらい前までは、女なんて奴隷扱いだったんだから。(今でもそう思っている男多いけどね)

それに比べたら、今は天国だ。
好きな仕事、好きな住まい、好きな男。
結婚しなくても、売春しなくても、やっていける。
けれどもだからって、それでいいわってわけにもいかない。

そういう今の女たちの抱えるテーマをほんとしっかり描いてくれていると思う。
毎度だけど、こういう映画はやはり、女にしか撮れないよね。
(だからさあ、やっぱり映画もやめられない。あたしが撮らないで誰が撮る?って思ってしまう)

あ、話がそれたけど、でもさ、マドンナはどうしたかってことです。
いろいろあったにしろ、イギリス人映画監督・ガイリッチーと再婚して、母親になっちゃって、最近はおとなしいよね。
そうなの、それが結末なの?
やっぱり結婚?

映画「BJ2」もハッピーエンドで終わる。でも。
映画は終わっても人生は続く。

その先の未来は、まだ、描かれていないと思うの。
手つかずの、誰も歩いたことのない道。
ほんとに知りたいのはその先なんだよな。