山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

まちがった三姉妹幻想

私は三人姉妹のまんなかである。
二つ違いの姉と二つ違いの妹がいる。三人姉妹というと、かつて私も手掛けたことのある
「やっぱり猫が好き」が有名だけど、現実はあの姉妹のように、楽しくも仲良しでもない。

先ほど、NHKで「笑う三姉妹」というドラマをやっていて、ちょっと見て、そう思った。このドラマは、長女、浅野ゆう子さん、次女、光浦靖子さん、三女、牧瀬里穂さんが演じられているのだけど、なかなか楽しい内容である。こういうのを見ると、三姉妹ってよいのではないか、多少けんかしても、おもしろおかしく、夜になれば、星を見ながら、女同士、ビールでも飲むのではないかと思えてくる。

否!
そんなことは全然ないのだ。
私は実際に三姉妹であるけれども、その真ん中ということは、「猫が好き」では室井滋さん、「笑う三姉妹」では光浦靖子さんと、どうも、次女は「変わり者」として描かれやすい。

確かに私は、家族のなかでも幼い頃から異端児であり、アウトローであり、変人扱いされてきた。たいていの三姉妹がそうであるように、長女というのは、体制派である。親思いで、保守的な場合が多く、一方で、世話焼きなために、嫁き遅れたりする。現実にうちの姉もそうだ。

三女というのは、甘えん坊でちゃっかりものが多く、これもまた、うちの妹にもあてはまり、さっさと結婚して、二児の母になり、脂肪をたっぷり蓄えている。

このような保守的な姉、妹と十代の頃よりすでに気は合わなかった。本当に血を分けた姉妹なのかと思うと絶望するほどだった。(しかし、見た目には共通項が多く、私の希望むなしく、おそらく、血はしっかりつながっている)

そんなわけで、姉妹とはなるべく関わりを持たないように気をつけてきた。仕事をするようになって、ますます、その価値観ははなれていくから、道で出会った犬ほどに親しみを感じない。

それが、父の件がもとで最近、しげく連絡をとらないといけない。一緒に食事をする機会も増えた。これが全然、ドラマみたいじゃない。おもしろおかしく、なんてほど遠い。

冷静沈着な私に比べて、姉は激情型で泣きまくる。妹は強欲でありながら、臆病でもある。このようなひとたちと葬儀を取り仕切った私に深く同情するのだ。そして、二人を見ているとあらためて、絶望的な気分になるのである。こんな奴らと血族であるなら、私の未来は明るくない。

父が亡くなったこととは別に、あらたに落ち込むのだった。

実在する楽しい三姉妹がいたら、会ってみたいものだ。