山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

運命の雨

今日はひさしぶりに、美容院へ行った。
水曜日あたりから、人と会う約束が始まるので(これまではひきこもり週間だった)
身繕いをする必要があったのだ。

それで、のろのろと夕方、いつもの美容院へ。
長年かよっている店なので、緊張もなく、ほとんど20年くらいあんまり変わらないヘアスタイルが完成する。で、まあ、外へ。

予定では、カゴ風のバックとうすピンクの綿キャミを買って、映画をみるつもりだった。が、すでに19時半を回っている。なにをするにも遅すぎる。

すると、さらに私の運命をあざ笑うがごとくに小雨がふってくる。
すぐやむんじゃないかしらと都合良く考えていると、雨はどんどん激しくなる。

その時、通りかかったのが、かわいいバッグ屋さん。のぞくと、かわいらしいカゴバッグもあるので、ふらりと入る。その時、ふと、今、地下鉄の駅に走れば、それほど濡れずにすむけど、この店に入るってことは、先のこと考えていないひとのやることだよ、と別人格のワタシが注意する。ところが、ま、いいじゃんと、主人格の私が主張して、はれて、店内のひとになった。

店に入ってしまったからには、もう、バッグを見るわけである。かわいいなあと最初に見初めたのは、4000円台のもの。意外に安いじゃん。
次に、ほれたがのが、きらきらアイテムとリボンのついたもので、16000円くらい。あら、最初のに比べると4倍もするんだ。ここで迷っていると、外から水音が。

ウインドーを通して見ると、犬と猫が降っている。
(って、英語でどしゃぶりのこと、こんなふうに形容するでしょ)
じゃなくて、すごい大雨。

バッグ屋の店員さんたちも、雨水が入り込まないように、ドアを閉めたり、外にあった看板を避難させたりしている。

ほおら、言ったとおりじゃん、これで、アンタ、ずぶ濡れ決定よ、と賢い方の別人格が勝ち誇ったように言う。(だけど、濡れるのはアンタも一緒よ、だって同じ人間なんだから)
などと、分裂症のひとのように葛藤しながら、しかし、外見は冷静に、店内を歩く。でもって、2階にも売り場があったので、のぼったりする。雨はどんどんひどくなる。

二階には、ほしいな、と思えるものがなかったので、一階に降りる。雨はどしゃぶりから台風みたいな感じにバージョンアップしている。さあ、どうしよう。

しかたないので、店員さんに「少しここにいてもいいですか」と尋ねる。たぶん、私の半分くらいの年齢のお嬢さんが「どうぞ、どうぞ」と優しく答えて下さる。

さて、外の雨を見ながら考える。
カゴバックを買うかどうか。もともと買おうと思っていたのだ。素直にどちらか買えばいいじゃん、というひとと、いやいや、雨宿りしているだけなのだから、無理に買う必要ないというもうひとつの人格がここでもケンカを始める。

さらに、テーマは細分化される。
じゃあさ、買うとしてさ、4000円のシンプル系と16000円のじゃらじゃら系のどっちにするのさ、ってまた、ちがう人格が脅しをかけてくる。

だいたい、アンタこんなところでバッグ買ってる場合のなの?とさらに別のひとが。
今年の目標は質素な生活をしても、小説を書こうだったくせに、イタリアでも買い物三昧だし、お金がなくなると不安になって、テレビの仕事へすぐ戻っちゃうし。アンタ、本当にやる気あるわけ?と怒鳴ってくる。

え~、どうしよう。
じゃ、買うのやめる。けど、雨ふってるから、外に出られません。どうしたらいいんだろう。と、いろんな人格に責められて、思考停止に。

外を見ると道の反対側にはカフェがある。
そうだ、あの店に入って、コーヒーでも飲みながら、今後の行く末について、じっくり考えたらどうだろう、と思い付く。
(今後の行く末って、要するにバッグを買うかどうかなんだけど)

でもって、店員さんに、「お邪魔しました」と告げて、前の店までダッシュ。
と言ったって、小学生の頃から「なんで歩いてんだ」と本人は走っているつもりでも、体育教師に何度も怒鳴られてきた身。わずか10メートルくらいの移動でずぶ濡れになる。

カフェにてコーヒーとパンプディングなるものを注文。
ゆっくり座って外の大雨を見るのは、なかなか快感である。ので、すぐに目的を忘れる。
携帯でなひとなどにメール。さらにドラマのロケ中のひとに電話。
「大雨でロケ中止だから、迎えに行ってあげようか」と言われる。
あら、よかった。これでぬれずに済むじゃん。ぐっと幸福度がアップする。

それで急に世界は私に対して好意的なのだから、大丈夫だと思えてきて、バッグを(しかも高い方)を買うことを決意する。で、そそくさと店を出る。

が、すでにバッグ屋さん、閉まってる。う~ついてねえ。迎えはあと30分くらいかかる、と言う。え~、もうカフェ出ちゃったし、行くとこないし~と途方に暮れる。
雨足も弱まったことだし、綿キャミを買う予定のGAP(ここ、好きなんですね)まで、行くことにする。GAPは21時までなんですねえ、ほんと好き。

時系列で書いててかったるくなりました。シュルルっと早送り。
GAPでは、欲しい色のキャミ発見できず、白、チョコレート色、カーキの三枚のTシャツを購入。迎えのひとからは、「雨あがったから、ロケ再開なんで、行けない」と冷たい電話。

というわけで、計画していたことのひとつしかできませんでした。すべて雨のせい。
でもないか。どこが運命の雨だよ。とほほ。