山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

パンのようでパンでなし。

今日は、秋晴れって感じの一日だった。

…と言っても、仕事ですぐに地下に入ってしまったので、外に出たら日は暮れていたけれども。

仕事のあと、六本木のミッドタウンの地下を歩いていたら、美味しそうなパンやさんがあった。よし、買って帰ろうといろいろ悩んで、クロワッサンだの、アップルパイだのを買いました。で、レジに並んで初めて、そこが、うちの近所にもある店だと知る。なあんだ、あの店だったのかー。いえ、そこも充分美味しい店なんですけど、店のたたずまいが違うだけで、パンまで違って見えるから不思議。

しかし、広告、宣伝ってこういうことなんだろうなーと思う。

もし、その店が、うちの近所の店と同じ店とわかっていたら、私はわざわざパンを買わなかった。けど、買ってしまったのは、その店のたたずまいがかっこよかったので、「新しくできた最先端パンやさん」と思ったから。パン自体だって、近所の店で何度も見ていたはずなのに、同じだってことに気づかなかったよ。(間抜けなだけだけど)。

つまり、私は、パンではなく、店のたたずまいを買ったのだ…。

ことほどさように広告は大切。そこになにがあるかを知らせないといけないし、中身はともかく、ひとが身を乗り出すようなしかけをしなくっちゃいけない。

そんなわけで、最近は自分の映画の宣伝活動も行っているので、「広告」に敏感なのだ。前に売れっ子宣伝マンから聞いた言葉。

ほしいと思うひとが買うだけではなく、ほしくない、興味ない…と思っていたひとまで、思わずその商品を手に取るようにするのが、広告の力だと…。

まったくでございます。そして、現代は、その力によって、ほんとにものすごく売り上げが左右される。それは、一冊の本から、家まで、全部だ。複雑な思いがあるけど、とにかく今は、少しでも自分の映画に興味を持ってもらうための努力をしています。

見たいひとだけ、見ればいい…なんてとても思えない。

そのために、俳優さんたちもスタッフさんたちも力を注いでくれたのだから。