今日は、ロケでした。
で、ロケに行くまでの間に、ちょっと考えてしまう出来事があったので、その話をします。それは、お金持ちになるひととならないひとの差…みたいなことでした。
朝、家の近くからタクシーに乗って、ロケの出発地へ行きました。朝はどーしてもタクシーに乗ってしまいます。午前中の電車はどーも苦手で…。そんなことはともかく、集合場所は、表参道でした。ここは、何度もタクシーにて通っている場所です。ですので、自分なりの最短経路があり、ちょっと特殊ですが、その道を行くことに決めております。
しかし、本日、うすぼんやりして、ドライバーさんに、経路を説明するのを忘れていました。なぜか、説明しなくても、「わたしの道」を行ってくれるように錯覚していたのです。毎回通っているので、間違えるはずないと思って…。ドライバーさんにしたら、初めての客なのだから、「いつもの道」がわかるはずないのに。
そんなわけで、タクシーはまっすぐ行くべき道を、ふっと横道に入りました。なので、「えーっ!ここで曲がるんじゃなかったんです」とあわてて説明。自分の通りたい道とその理由(一番混雑を避けられることと、目的地に行くために、信号を渡らなくてすむこと)などを伝えました。
すると、そのドライバーさんはとても素直な方で、わたしの提案した道へ向かって、進路を変更しました。で、一件落着と言いたいところでしたが、ちがった経路から行ったせいで、途中、結構混雑しました。それでもなんとか抜けて、目的地に近づいてきました。その時、わたしは、何気なく、ため息をつきました。それは、特に理由のあるため息ではなく、「眠いなー」とか「人生ってたいへんだー」とかいつも思っているような、どーでもいいため息でした。しかし、ドライバーさんはそうとらえなかったようです。
「あの、もう、メーター切りますね」と言ったのです。
「えっ?」
「まわり道しちゃったから…」
ようするに、ドライバーさんは、違った経路を進んだために、時間と料金がかかったと私がうんざりし、うんざりゆえのため息をついたと誤解したのです。それで、申し訳ないと思ったのでしょう。メーターを切ると申し出てくれたのです。そこから、目的地まで、優に200円くらいかかりそうな距離でした。
わたしは、「結構です」と断り、目的地までちゃんとメーター通りに支払ったのですが、(実際、いつもの経路より200円くらい高かった…)けど、その時私が思ったことは、そのドライバーさんの姿勢についてでした。
タクシーに乗ってすぐに、経路を説明しなかった客(=わたし)にも非はあるのですから、自分から、メーターを切る必要はないのではないか。損をするのはドライバーになる。(正確にはタクシー会社になるのでしょうけれども…)。もちろん、客を怒らせて、会社全体のイメージを落とすより、ここは、200円くらいおまけしたほうがいいという判断もあるかもしれません。
が。自分は、全然怒ったつもりはなく、ため息は、単なる人生に対する憂いだったのに、ドライバーさんの方から謝られて、びっくりしました。それで、いろいろ考えてしまった次第です。
もっとお金に執着のあるひとなら、自分から損な申し出はしないのではないか。このドライバーさんのように、下手に出てしまったら、損しちゃうんじゃないか…とか。
いや、うまくいえないな。あそこで残りの分をおまけすることは、「肉を斬らせて骨を断つ」みたいな商売の方法なんでしょうか。200円けちって、会社のイメージを悪くするより、長い目で見て、得なのか…。だんだんわからなくなてきたけど、でも、たぶん、あのドライバーさんは、長い目で得と考えたわけではなく、自分が非をかぶろうというタイプだったんじゃないかな。
うー。なんかね、そういうひとのほうが、たとえ、お金を損してもいいよな~と思いました。いずれ得するという計算があってやっているのではなくて、「こっちのミスじゃないけど、謝っちゃう」ってひと。えばりちらすひとよりいいな。たとえそれがお金持ちへの道じゃなくても。
お金持ちのひとって、お金にうるさいひとが多いですから。そして、ものすごい執着を見せたりするんですよね。まわりにそういうひとたちが結構いるので、そのひとたちのお金へのものすごい執着を見て、毎度心を痛めているので。
一度など、詐欺同然で、車一台、持って行かれたことがありました。本当にびっくりしましたよ。その姿を見たときから、お金に過剰に執着するひとには近づかないでおこうと思っておりまして…。
…想像したより、この話をうまくまとめて書くことができなかった…。なぜだろう。自分の判断にブレがあるからでしょうか。失礼しました。そんなタクシーエピソードでございました。
下りる時にも、そのドライバーさんは、「時間かかってしまって、すみませんでした」って謝ってました。なんだかね、申し訳なかった。自分も「いえいえ、こちらこそ」と言いましたけれどもね。
深夜、DVDにて、小田切譲監督「さくらなひとたち」を見ました。不思議な作品でした。