山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

幻と現実

wowowで「蛇いちご」を見た。
いや、びっくり。とても初監督作品とは思えない完成度の高さ。脚本もよく練られていた。

すでに壊れているが、上辺は平和で仲良くやっているように見える家族が、崩壊して行く様子を描いていた。崩壊といっても、暴力的な感じではなく、それぞれが隠しもっていたほころびがどんどん表に出て行くといったもの。

普通、家族が崩壊していくというのは、悲惨なものだが、事実、常識的にも悲惨な状況になるのだけど、にもかかわらず、この家族は妙にいきいきしてくるような、解放されていくような、晴れやかさがある。

崩壊前の取り繕った関係より、いっそぶち壊れてしまったほうが、せいせいするのかもしれない。
いつものことだけど、落ち込んでいてもいい映画を見ると、元気がでる。気持ちにはりが戻ってくる。やっぱり、芸術にはひとを救う力、癒す力があるようなあ。