今日は、青山円形劇場で、劇団ハイバイの「その族の名は家族」を見ました。今日が初日でした。
これはもともと、「て」というタイトルで上演されたものですね。何回目かの再演で以前見ました。
なので、ストーリーは知っていたし、ハイバイ独特の(いや、他の劇団でももちろんやっているけど)、やはり、あえて、ハイバイ独特のと言わせてもらうとして、独特の時間の戻り方を知っていたので、あらためて、「はっ」と驚くということはなく、安心して見ていたのですが、途中からすっかり引き込まれました。
最初のうちはですね、キャストが新しいので(同じひともいたかな…葬儀屋さんとか?)、なるほど、このひとはこういう風に演じるんだ…なんて楽しみ方をしておりました。
ユースケ・サンタマリアさんとか、芸達者で華があるから、ちがった魅力がありました。
そのユースケさん演じる、「お母さん」が、時間がねじれて、突然入って来るシーン(見てないひとにはわからないと思いますが、このまま続けさせてください)がとても好きで、いつ、やってくるか、くるか、すごく期待して見てました。
すると、音楽とかもちがうんですね。ほう、こう来るか…と思ってまた、楽しく。
しかし、あのお母さんが突然やってくるシーンの構成って、何度見ても、うまいなー天才的だなーと思うわけです。
それと脚本。
練りに練ってひねってつくった…(のかもしれませんが…)そういう風に見えなくて、すごくストレートに書いたのに、誰もまねできない感じが、ほんと、ハイバイの(岩井さんの)魅力ですねー。
ちょっと考えると「よくある話」なんですよね。壊れた家族の数日間。暴力をふるう、一方的な父親、それに耐える、でも、妙に明るい母親、ボケ始めた祖母、やさしいけどどこかひねくれた長男、一生懸命だけど、からまわりしがちの長女、ストレートな次男、兄や姉とはちょっと違うスタンスの次女。
それぞれ個性的なんだけど、そのからませ方が絶妙。
でも、これ、壊れた家族を描いているのに、「家族とは?」「理想の家族とは?」みたいな問いかけがいっさいない。
というか、家族の話のに、家族の話ではないのではないか…と思わせるところがある。
家族の話で始まっているのに、家族の話を抜け出していくような気がする。たどりつくのは、人間のどうしようもない、おかしさ…その拾い方がうまいのだなあ。
葬儀屋さんの描き方や神父さんのキャラクターとか。神は細部に宿る…といいますが、細部が効いている。
…とベタほめしてしまいました。あの、世界観が好きなんですねー、面白い。
やっぱり、これまで誰もやらなかった芝居なんだよなー。
…ということで、楽しかった-。
いろいろ知り合いを見かけたのに、声をかけそびれて残念だった。