山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

セクシャリティと人生

本日は、渋谷にて、「メゾン・ド・ヒミコ」を見ました。最近、快進撃をつづける、犬童一心監督の作品です。19時過ぎからの回でしたが、9割かた客が入ってました。あたってます。

ゲイの老人ホームのお話ですよ、コレ。まず、ゲイってだけで、ひかれそうで、さらに、老人ともなると、完全ヒキですよね、いわゆる、メジャー志向、あたってなんぼの人たちから見ると。

しかし、まず、ちゃんとあたっている。集客してました。もちろん、柴崎コウ、オダギリジョーなどの若手人気役者がでているから、ある程度の客は呼べると踏んだのかもしれない。けど、しみじみ思う。小手先の手段で数字狙っても、客はそんなにバカじゃないよ。

えっと、感想が遅くなりました。よかったです。この監督の作品のなかではピカイチ。(「タッチ」は未見ですが)独特の間のある演出なんですね。途中、だれるようにも思われるけど、それもまた、味わいで。

まず、オダギリジョー、めちゃめちゃいい。こんなにかっこいいひとだったんだと新発見。今までみたどんなドラマ、映画のなかの彼より、これがよい。芝居もうまいし、かっこいいし。彼の魅力で映画をひっぱっていくように思えました。

柴崎コウさんもいいんですけど、たとえ、彼女がすっぴんで演じても、「バニーガール」の格好がまったく似合わない「ブス」の役には無理があるように思いました。このコはブスって役柄なんです、という説明が入るまでは、普通に「キレイなコ」としてとらえてしまうので、そこがちょっとでした。

それと、田中ミン(漢字がでません。サンズイに民です)さんがまた、独特の味があって。

内容も冷静に考えるとハードです。年老いたゲイはどこへゆくのか。この老人ホームの住人たちは、最後までゲイであることを最優先させてるからこそ、ここに集まった。ゲイであっても、結婚し子供をつくり、ゲイライフをこっそり楽しむひとであったら、老人になっても、嘘をつきとおして、死んでいくでしょう。

それをよしとしないひとたちの物語。つまり、自分のセクシャリティが人生に強く影響している、というか、支配しているんだな。それにはそれなりの覚悟がいるわけで。けど、自分の性のありように、きちんとむきあっている姿は感動ものでした。

嘘がない、よけいなセリフがない、映画らしい映画でした。

西島秀俊さんもまた、いいんだよなあ。