山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

不幸なのは専業主婦?

アメリカの人気テレビドラマ「デスパレートな妻たち」面白かったな~とぼんやり思い出していた。このドラマは、高級住宅街に暮らす、4人の主婦たちが主人公。(正確には5人?最初にひとり死んじゃうんだけど)

でもって、それぞれを紹介すると、

スーザンは、離婚したてのシングルマザーで、絵本の挿絵作家。(この声を女優の萬田久子さんがやってる。萬田さんお久しぶり!)、離婚の理由は夫の浮気。なんと、秘書(金髪の若い子)とできちゃって、離婚。彼は秘書と再婚。(うーかわいそ)

リネットは、元キャリアウーマンで、四人子供がいて、子育てに追われてる。夫はリネットを超愛しているけど、出張がちで、家にあまりいない。

ガブリエルは、ニューヨークでモデルをやっていた美女で、夫は、投資会社経営かなんかで超リッチ。でも夫婦仲は冷えきっていて、高校生の男子と浮気してる。

ブリーは、マーサ・スチュワートまっさおのカリスマ主婦で、家はきれいに磨かれ、料理も手抜きせずだけど、完璧過ぎて家族に嫌煙されて、夫から離婚しないかと言われている。

ドラマは四人の仲間であった、同じく専業主婦のメアリーアンがピストルで自分の頭をぶち抜いて自殺するところから始まる。裕福で、一見、なんの不自由もないように見えた彼女たちの「崖っぷちぶり(デスパレート)」が露出していく。

それぞれに不幸を抱えているんだけど、丁寧に見て行くとさ、より難儀なものを抱えているのは、ブリーとガブリエルなわけ。

確かに、夫に離婚されたスーザンはかわいそう。だけど、彼女は正直で魅力的なひとなので、近所に越してきたばかりのハンサムな配管工と恋の予感がある。

また、出産のためにキャリアを諦めたリネットも、子育てに追われているとはいえ、夫は彼女をマジメに愛していて、たいして、問題はない。

このふたりに比べると、ブリーなどは悲惨。自分では完璧な妻であり、母であると思っていたのに、(しかも大学時代は人気者の彼女だったのに)、夫からは離婚したいといわれ、子供たち(一男一女)も彼女を毛嫌いする。にもかかわらず、彼女は自分のどこが悪いのかわからない。

元・モデルのガブリエルも、退屈しのぎにバイトの高校生を誘惑しちゃって、それが夫にバレそうになって、ヒヤヒヤしている。でも、もちろん、浮気はやめないんだけど。
という風に三話見て行くとさ、スーザンとリネットは、目の前の雑事の大変さはあるにしろ、おおむねハッピー、に描かれていることがわかる。一方、ガブリエルとブリーは明らかにもっと不幸になることを予感させる。

こういうのってさ、制作者の意図なんだよね。お金目的の結婚や、外見を取り繕うばかりの結婚は不幸になるよ、っていう、制作サイドのメッセージなんだよね。

同時にこのドラマが伝えているのは、絵本の挿絵作家だったり、今は子育てのために休業中とはいえ、自分の力でキャリアを積んだ女性なら、ちゃんと愛するひとが見つかるし、幸せになれるよってことが表現されている。

さすが、アメリカ。
自分の力で未来を切り開くひとを応援する社会なんだよね。美貌だけを武器にする元モデルや、インテリア雑誌の世界を実現することばかり考えてる主婦には、辛辣。まあ、殆どの女性が働いているアメリカでは、この手の「働かない主婦」に対して、風当たりが強いのかもしれない。

日本はまだ、母性神話、専業主婦神話が強いから、この手のお話はダメだんだよね、専業主婦のみなさんから抗議が来ちゃう。(っていうことを、書いただけで、私も抗議の対象になります。怒らないでね、主婦のみなさま)

私は主婦ではないけど、崖っぷちであることは変わらないから、彼女たちの行方が楽しみです。

しかし、みんな崖っぷちであることは変わらないんだよな~と思えて、不思議に安定した気持ちになるのでした。