山田あかねの一喜一憂日記

テレビディレクターをやりながら、小説書いてます。映画も撮りました。脚本なども書いてます。 本、買って下さいね。

淋しいのはおまえだけじゃない。

友人にすすめられ、20年以上前のテレビドラマ「淋しいのはおまえだけじゃない」をDVDで見ている。

サラ金で借金をし、どうしようもなくなった男女5人が、サラ金の取りたてや(西田敏行)の苦肉の策で、大衆演劇の一座を旗揚げし、その上がりで借金を返そうとする物語である。このドラマが制作された当時は、サラ金問題が初めて表面化していた時代であり、同時に、大衆演劇も人気を集めていたのだ。で、そのふたつをカップリングさせて、ドラマにしたのだと思う。

とてもジャーナルなテーマでありつつ、脚本は市川森一さんであるから、たっぷりのヒューマンドラマにもなている。いやあ、テレビドラマもかつてはこんなにしっかり作られていたのだなーとしみじみする。主人公がちゃんとした大人だし、テーマも大人の人生に関わるものなのだ。最近って、映画もテレビも高校生の恋愛ばっかりなので、とても新鮮だった。

それにしても、ときどきびっくりするのは、女性の描き方というか、女性の立場である。西田敏行さん演じる取りたてやの妻を泉ピン子さんが演じているのだけど、この夫というのが、今ならDVで捕まるのではないかというほど、妻に暴言を吐くし、蹴ったりどついたりする。扱いもかなりひどい。それでも、妻は夫についていくのだ。(いや、もちろん、サラ金の取りたてやは、ちゃんと妻を愛しているらしいのだが、時々ほんとにひどい扱いをするのだ)。さらに、萬田久子さん演じる妻もけなげである。サラ金のとりたてを苦に自殺未遂し、寝たきりになった夫を必死で看病しつつ、借金も背負い、おまけに姑にもいびられているのだ。

彼らには、「離婚」の文字はないのかというくらい、女は耐える。20年前の日本ってこんなだったんだろうか。そう考えると、日本の女性というのもずいぶん幸せになったんだなーとも思う。女は結婚するくらいしか生きる道がなかったらしい。今なら、即離婚だろう。この時代には、まだ、日本的な倫理や善悪がはっきり残っていたのだ。それが失われたから、今はドラマが作りにくいとも言える。なんでもあり、タブーなしだと、ドラマ作りはたいへんだ。

それにしても、西田敏行さんが、とってもうまい。サラ金の取りたて屋のどうしようもなさを、時に怒ったり、脅したり、やさしくしたりしながら、感情豊かに演じている。そしてまた、耐える妻、泉ピン子さんも抜群にいい。耐えに耐える一方で、ちょっとユーモラスなところもある妻をせつなく演じている。

テレビドラマもすごかったんだなーって今更、驚いたりして。

勉強になりました。

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