山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

皆殺しの天使状態

ルイス・ブニュエル監督の作品に「皆殺しの天使」という傑作がある。
1962年の制作。

この映画のなかで、パーティーに集まった貴族たちが、理由もなく、その部屋から出て行けなくなるというシーンがある。というか、出て行けなくなって映画は終わる。

なんどもその部屋を出ようとするのに、なぜかでられない。その部屋に居続けることはとてもつらいし、出て行きたいのに、でも、実行できない。そういうシーンである。

このシーンの意味は、ご覧になった方々に考えていただくとして、このように、なぜか部屋から出られない、あるいは、帰ることができない状態を、大学時代、「皆殺しの天使状態」などと呼んでいた。
(冗談でね)

でも、そういうことってあるでしょう。外に出たいし、でた方がいいに決まっているとわかっていながら、部屋に居続けるとか。

時々、私も皆殺しの天使状態におちいります。
つまりさー。もう、絶対やった方がいいに決まっている仕事が目の前にあるのに、どうにも手をつける気にならないとか。格別ほかにやることがあるわけでもないし、ばっさり遊んでしまえるほど勇気もなくて、デスク周りをうろうろしたり。

時々こういう、状態がやってくるんだよなあ。そうなってしまうと抜け出すのが大変で。

最初の皆殺しの天使状態は、高校生の頃だ。ある日突然、受験勉強がいやになったのだ。どうにもこうにも。それで途中で放棄してしまった。むむむ。今になって思うと、なぜそうなったかがやっとわかった。

当時は理科系で医学部を志望していた。ほんとはこれに嘘があったのかも。それで途中でいやになってしまったのだ。結局文学部へ入ったわけだけど、最初から文学部志望にしときゃよかったってことか。

この経験からいうと、皆殺しの天使状態に陥るってことは、その仕事がほんとはやりたくないってこと?だから、気乗りがしないと?まあ、そうかもしれないねー。でも、仕事は全部が全部、好き好きってわけにはいかないものでしょう。

どちらかといえば、自分など、幸せなスタンスだよね。興味のあることやれてるもん。

皆殺しの天使状態なんて言ってないで、外に出る準備をしなきゃね。
(あくまで、コレ、比喩ですよん)