山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ギザかわゆし。



私が書き物をしていると、よくドアの隙間から、犬の親子が覗いている。一日中、アンタ、なにやってるの?という視線を背中に感じるのだ。

そんなわけで、土曜日。関係ないけど、今日のタイトルは「ギザかわゆし」にしてみた。これって、中川翔子さんというアイドルが使っている言葉だけど、なんだかいいなあと思ったので。意味としては、「とてもかわいい」ってことだけど、この「かわいい」という概念がこの世に革命を起こしたのだと思うのだ。

実は97年に「ある女性誌が作ったカワイイ宇宙」というドキュメンタリー番組を作った。(byNHKBS2)これは、「カワイイ」という言葉がどのようにして生まれ、どうやって育っていき、そして、どんな影響を与えたかを検証する内容だった。「カワイイかカワイクないか」という視点で、ものごとを見るようになったは、70年代に遡る。高度成長で豊かになった日本では、アンアンやノンノといった女性誌が生まれ、女性たちが自由にものを言えるようになった。その時、彼女たちの気持ちを一番素直に表したのが、「カワイイ」という言葉だったんだ。

それまでは、この世の基準は、「いいか悪いか」「正義か悪か」だったのである。けれども、消費の中心に女性たちが踊り出たとき、モノを選ぶ基準は、「いい悪い」ではなく、「かわいいかどうか」にスライドしていった。これは、革命的なことだったんだよ。つまりそれは、自分の好みをはっきりさせる、ということだから。

そして、時は流れ、アイドルの女子が、いろんなものごとを「かわいいか、かわいくないか」を自分の言葉と感覚で語っていく。それを見ていて、「かわいい」も遠くまで来たなと、しみじみと嬉しくなったのだ。こういう女の子の感性が広く届く世界っていいな。効率や経済のモノサシとは関係なく、「だって、かわいいんだもん」という感覚で、ものごとが動くほうが、なんか楽しいと思うのだ。

うちの犬はそれにしても、かわゆし、だもんね。