山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ふたたび、革命について。

昨日みた、「僕たちの好きだった革命」に触発されて考えたことをもう少し。

一昨年、テレビの取材で韓国に行き、韓国の文学事情を取材した。その時、韓国の文学の主流は、祖国とか自由とかをテーマにすることであって、恋愛小説というのは非常に地位が低いということを知った。「なんでそうなったんですか?」と韓国人の文藝評論家に尋ねたら、「だって、韓国の軍事政権を倒したのは、文学の力だったんですよ。1990年代の民主化運動の中心が文学だったんです」

これには大変感銘を受けた。民族や自由をテーマにした小説(太白山脈は500万部売れた)が、世の中を変えたわけだ。だから、今でも文学の主流は民族・国家がテーマなんだけど、一方、日本では、恋愛が中心。なんでそうなったんだろうとやはり質問したら、その評論家は答えた。「だって、日本の学生運動は負けたでしょう。韓国は学生が勝ったんです」・・そうだったのか。

日本の学生運動は負けて・・結果、恋愛中心の世界観がやって来たというわけ。天下国家を論じて闘っても、なんにも変わらなかった・・という絶望が、自分の身の回り1メートルくらいの幸せで満足しよう、他のひとのことなんて、知ったことじゃないし、ましては他の国の戦争なんて関係ないもん、俺の彼女がかわいければそれでいいじゃん・・という世の中を作ったのね。だから文学も恋愛が中心になった。現在の文学市場というのは、実は学生運動の失敗の結果なのか・・と思うとちょっと面白いけど。

全然、関係ないけど、花王の会長の言葉を思い出してしまった。花王って会社は、アタックという洗剤だけでも20回くらい製品改良しているそうなんだけど、常に、もっと良くなろうと改良を繰り返してきたという。
一企業の話だけど、結局、こういうことが大切なんじゃないかしら・・と思ったりして。

派手な革命ではなくても、目の前の出来事の少しづつの改良。慢心することなく、ずっと改良し続けること。それって結局、考え続けることだと思う。「これでいいんだ」って決めないで、いつも、「ほんとにこれでいいの?」と繰り返していくこと。革命っていうと大事だけど、もっと小さなところからゆっくりじわじわ世の中を変えていくってやり方のほうが、効果があるんじゃないかなー。若者は、「革命」的なお祭りが好きだけれども。

そんなわけで、あたしのすきな革命的日常・・ってテーマでどうかしら。どうかしらじゃねーよー、とっとと自分の仕事しろ!ですね。はい。