台湾おさらい2/野良犬
台湾の野良犬事情ビジュアル編。
例えば、写真は、かなり大きな駅の構内である。そこに一頭の野良犬がいる。
痩せた雑種だ。首輪をしているところを見ると、誰かに棄てられたのだと思う。駅でふらつき、相手にしてくれるひとを探している。もしくは、かつてのご主人が、ふらりとこの駅に降り立つことを待っているのだろうか。そんなことを想像するだけで、胸がしめつけられる。
ふらふらと彼はどこへゆく。やさしそうなひとをみると、駆け寄って行くのだ。
私もこいつに、食べものを与えたかったけれど、取材中に野良犬にかかわり、トラブルを巻き起こしてはいけない。じっと見るだけにとどめた。
タクシーを待つ間、彼はひととおり構内をふらついていたけど、ふっと、諦めたように、一本の柱のもとに腰を下ろした。ここが彼の定位置のようだ。バスの発着所の近く。
このあと、わたしは、タクシーに乗って、山間の畑まで行ってきた。同じ駅に戻ったのが、3時間後くらい。探したけど、彼の姿はすでになかった。どこかで今も無事でいてほしいと思う。