いろいろ事件続きで、書けなかったけど、「国道20号線」という映画を少し前に見た。
なんかかっこよかったなー。この映画の主人公はタイトル通り、「国道20号線」なんだな。山梨県にある国道らしいけど、この道の両側には、巨大パチンコ店、巨大ゴルフ練習場、焼き肉やファミレスなどが並び、それに連なるようにサラ金の無人キャッシュブースがいくつも並んでいる。一見どこの田舎町にもあるような風景なんだけど、冷静にみるとものすごく壮絶な感じがする。
この近くに暮らす、行き場のない若者が主人公だ。彼らは車がびゅんびゅん行き来するこの国道20号線を徒歩でよろよろ渡っていく。向う側に渡ったところで、そこにも同じ風景が広がっているだけ。ほんとにとことん行き場がない。その閉塞感が、力強い風景描写で迫ってくる。日本ってどうしようもない国なんだなーって感じが、台詞ではなく、映像で伝わってくるんだよなあ。
昼間から混雑するパチンコ店で、行き場のないひとたちが、お金をつぎこみ、足りなくなると、近くのサラ金のディスペンサーからお金を借りる。借金はかさみ、ますます生活は荒れていく。そういうひとたちからお金を吸い上げるシステムができあがっているように見える。
で、まあ、行き場のない若者はシンナーやったり、ヘロインやったりしながら、生き長らえていくわけです。自分は脚本も書いたりしているし、言葉の力を信じているけど、「国道20号線」は、映像の力でひっぱっていく映画。台詞は日常会話くらいしかなくて、説明的なものがいっさいない。なのに、なぜか、彼らの閉塞感がその場にいるように迫ってくるんだなー。映画的な映画だなーとしみじみ思った。
悲惨な話なのに、なぜか、惹きつけられる映画だった。かっこよかったなー。
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