山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

好きなことを仕事にするのがいいか、悪いか。



ソファとオットマンの間に入っているミニ。ミニは、このように隙間に入るのが好きである。細長い場所が特に好みで、よく、ベッドと壁の隙間にいて、思わず、踏みそうになる。

なぜ、犬はそのような行動をとるかについて書こうと思ったけど、長くなり、タイトルと違ってしまうので、今日はやめとこう。残念だけど。

で、四月なので、仕事について、考えてみた。新入社員のひとや、これから仕事選びをするひとのために。

仕事については、大きくわけて、ふたつの考え方があると思う。

「好きなことを仕事にする」をよしとする考え方と、

「好きなこと」は趣味にとっておいて、仕事は確実に稼げるものにする…と。

なんでそんなことを書いているかと言えば、よく読んでいる、chikirinさんの日記にそういうテーマがあったからと、「わが家の歴史」にも気になる言葉があったから。自分なりの考えを書こう。

たとえば、「ちかん」が好きなひとは、これを趣味にすると逮捕される可能性が高いけど、「ちかん」をテーマにしたAVとかピンク映画を撮って職業にすれば、逮捕されない…。(いや、別の容疑で逮捕されるかもしれないけど、ちゃんと法律を守って作品にしていれば、確率は低い)

…といきなり、例外から書いて申し訳ないけど。

chikirinさんの日記では、「書くのが好きだからといって、「書く」ことを職業にしてしまったら、書きたくないテーマを書かないといけなくなるかもしれないから、趣味のままがいい。」みたいなことが書いてあった。なるほど、である。好きなことは大事だから、大切にとっておく。仕事にした途端、イヤなことも飲み込まないといけなくなる。正しい、全く正しい。

前の例でいえば、「ちかんが趣味のひとが、ちかんのAVの監督になった。が、自分の趣味とは違うちかんモノを撮らないといけなくなって、苦しむ」などである。

が、しかし。

「わが家の歴史」(cx)を見ていて、気になった言葉がある。(第二話にでてきた)。高嶋政宏演じる糸川英夫(宇宙工学のひと)が、松本潤演じる東大生に、

「ひとは、ひとから頼まれた仕事のほうが、力を発揮する」

みたいなことを言っていたのだ。おお、と思った。確かに、自分が好きでやる仕事も大切だけど、人から頼まれた時に、思った以上の力を発揮することってある。

例えば、自分の好きなものしか書かない…というのもいいけど、ひとから頼まれたテーマで書くことで思わぬ発見をしたり、よきものを書くことだってあるかもしれない。書きたくないことを頼まれる確率もあるし、お金のために、書きたくないことを書くはめになることもあるかもしれない。

けど、一方で、思ってもみなかったテーマに巡りあって、いい作品を残せる可能性もある。例えば、海外の秘境などをテーマにしたものを頼まれて、行ってみて、発見がある…というケースもあるだろうけど、趣味でやっていたら、なかなか行けない場所だったりもする。

だから、好きなことは仕事にしないでとっておいた方がいい…とは、言い切れない。難しいところ。好きなことを仕事にすると、イヤな面もいっぱいあるけど、それ以上に良い面もあるんじゃないか。

そう考えるのは、自分が好きなことを仕事にしちゃっているからかもしれない。

実は、私も進路を決める高校生の時に、すごく迷った。作家というものになりたいと思っていたけど、そんなものでご飯が食べて行ける可能性は低いから、確実な職業を手に入れ、それでも書きたければ書けばいいと考えたのだった。で、医者になることにして、せっせと勉強した。

けれども、途中で、「キープの職業を得るためにこんなに大変なのか」という思いにかられて、結局、やめてしまい、なぜなら、医者になるのは大変だからね…で、無難に文学部へ進んだのであった。とはいえ、それで、「食べて行ける」作家になれたかというと、そうじゃない。今でも基本収入はテレビ関連だから、判断はむずかしいな。

けれども、テレビ~映画~小説という全分野は、好きなので、大きく見ると、「好きなことを仕事にした」という結果となる。もちろん、書きたくないテーマだったり、作りたくない番組だったりを発注されることもあるけど、そういう時は、自分は、「やらない」という選択をする。仕事だからといって、断れないわけじゃない。それを断ったら、飢えるってことは今のところないし、そうなったら、断って、別の仕事すればいいじゃん。

かつて、CM作りを生業とする知人が、「原発のCMを頼まれたけど、断った」と言っていた。「それだけはやりたくなかったから…」と言っていた。「仕事にしたら、いやなことも引き受けないといけない」というのは、一見真実だけど、どうしてもイヤなことは、NO!って言えると思うんだよね。

もちろん、サラリーマンで、上司の命令だったりしたら断れないということもあるだろうけど、そしたら会社やめたらいいじゃないか。好きなことを仕事にするということは、そういうことなんだと思う。それくらいの覚悟が必要だ…とも言える。

なので、自分、フリーランスなんだけどさ。…っていうか、フリーでいれば、嫌いな仕事は断ることができる。断ってばかりだと、死んじゃうけど、そんなに苦手なものってそもそも発注されないから、「嫌いなことを頼まれる」可能性って少ない。発注する側もバカじゃないので、こっちに向いているものを頼んでくるのだ。

結論として、「好きなことを仕事にする」のは、悪いことじゃないと私は思います。なぜなら、楽しい時間が長いからだ。仕事している時間って長いから、そこに好きなことを組み込めるのは楽しいです。それが一番じゃないかしら。

あと、もうひとつは、やっているうちに好きになるってこともあるので、わからないけどね。犬のための仕事などもやってみたかったなあ。犬好きだから。

…長くなりましたが、そんな風に思いましたことよ。