山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

五反田団の工場見学。

そんなわけで、イギリス 犬の旅報告も終わり、自分にとっての日常っぽい日記です。

今日は、五反田団の新春恒例工場見学見にいってきました。

工場見学っていうと、小学生の頃、社会の授業なんかで行っていた、実際の工場を見にいくようなものを想像されるかもしれませんが、いわゆる、演劇です。舞台ですね。

ここ数年でもっとも注目してきた劇団が、劇団ハイバイで、その演出家である岩井秀人さんがきっかけで、去年のお正月の工場見学から五反田団を見にいくようになりました。

五反田団の前田司郎氏は、09年に三島由紀夫賞もとっている演出家であり小説家であり、なんとなく名前は知っていたのですが、機会がなかったんですねえ。知って良かったです。

著名な舞台「生きているものはいないのか」とか、すごい作品であります。どすんと来ました。

なんたって、登場人物が全員死んじゃうし、主役も誰だかわからないんですから。最後に残るのは、舞台の空間だけなんです。冷え冷えとします。

しかし、本日の工場見学は、お正月のせいか、すこしゆるめの作品で、笑いながら見る感じでした。元々工場だった場所なので、ふつうの劇場とはちょっと雰囲気がちがって、それもまたよし、であります。

続けてみているとその劇団や演出家にシンパシーを抱いていくものです。今日はついに前田司郎さんの小説「夏の水の半漁人」を買ってしまいました。

三島賞受賞作ですが、最近の三島賞って、私がイメージしてきた芥川賞に近くなっている。逆に芥川賞のほうが、芥川賞っぽくなくなっているような…。読みながらそういうことを感じました。とても、とがった小説なんです。読者の甘い期待を裏切り続けるような。

ところで、今日、五反田団の芝居を見ていて、ひとつ気づいたことがありました。なにかを伝える時に、説明しすぎず、ギリギリの一歩手前でやめるべきなんだなーってこと。

今日の芝居のテーマは「ヤンキー」だったんですけど、「ヤンキーとは○○である」みたいなことを言い切ってしまわない。言い切る手前でやめておく。

チラシには、「ヤンキーは、子どもである」みたいなこと書いてありましたけど、それを言葉ではなくて、演技と展開で立ち上げていくんですね。

その加減が上手でした。

どっか、自分は説明しきっちゃいたくなる。語りたくなる。言葉が多くなる。いや、もちろん、言葉を書くのが好きでやっているのだから、止めようもないのですが、「そこまで言うなよ」って状態になりやすい。

今後の課題として、「説明過多」な感じをやめようかな…とか、あるいは、「説明過多」こそ自分って路線で行こうかなとか、いろいろ考えましたよ。小説において…という話ですが。

…というのは、別件で、とある分野で20年近く働いている方に会ったのですが、この方、その分野についての説明が長いというか、批判が多いというか、ちょっとうるさかった。せっかくまじめに仕事をしているのに、「言葉の多さ」「文句の多さ」でちょっと不信感を持ってしまいました。もったいないです。

いえ、たぶん、「一生懸命やっているのに、認められない」という思いから言葉が多くなってしまうのかなーとも思いました。

うまくいっているひとは、自分の仕事について、あえてたくさん語らないですよね。(インタビューとかは別として)。

年末に著名なクリエーター2名と食事をしたんですが、お二方とも、とても穏やか。創作上の悩みはたくさんあると思いますけど、基本的に満足して生きているように見えて、だから、業界への批判とかそういうもんがなかったです。

あ…わかりにくいでしょうか、これらの話。

自戒を込めて、「批判」的な態度をとることを反省した次第であります。

そんなわけで、2011年の初舞台は五反田団でした。楽しかった。

ぼちぼち仕事が始まって参りますが、今年はのんびりいこうと思っています。

なんか、いろいろふっきれちゃったんですねー。

とほほ。