山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画「あしたのパスタはアルデンテ」

このタイトル、どうかと思いますよね。料理の映画みたいじゃないか。

いや、このタイトルをつけた方の気持ちもわからなくないです。

イタリア映画であること。舞台がパスタ工場であること。

この2点により、イタリア料理、パスタ好きの女性たちをとりこもうとしたのだと思います。

わかりますよ、その心意気。

けれどもなー。このタイトルによって、ホントにこの映画を必要としている人を逃してしまっていないかしら…とちょっと心配になりました。

ざっくりあらすじを書きますと、舞台は、南イタリアの田舎町です。

そこで代々、パスタ工場をやっている一家の次男が主人公です。(イケメン)

実は彼には秘密があって、それはゲイだってことです。で、彼は自分に正直に生きるために、家族の集まりでそれを告白しようと決めます。

ところが、その家族の集まりで、長男(=兄)が先に、「僕はゲイです」と告白してしまうのです。

ここまでは予告編でもばらしていますから、「ネタバレ」に入らないと考えて書いています。

私はこの予告編を見て、見に行こうと決めたのですから。

で、兄がゲイであると告白したことから、父親は激怒、一家には大騒動がおこります。

主人公(=弟)はゲイであることをカミングアウトする機会を失うわけです。

この一連の物語の舞台が、パスタ工場なんですね。

でも、パスタそのものはあんまり関係ありません。確かに、物語のそこかしこで、登場人物たちが、ホントにおいしそうな、イタリア料理(パスタに限らず)をわんさか、食べたりしますけど、ストーリにはそれほど関係ないです。

ちょっと意外だったのは、田舎町とはいえ、イタリアで、ゲイであることに大きな偏見があることです。

恋愛の国、イタリアですから、ゲイにももっとおおらかなのかと思ってました。

意外と、「古い」んですね。

そんな、ゲイに偏見のある町で、主人公は告白できるのか、自分に正直に生きることはできるのか…というのがテーマであります。

かようにシリアスなテーマですが、わりとコメディタッチです。コメディというか、ちょっと不思議な味わいの演出でした。

ビーチでおねえの皆様が踊ったりとかね。

じゅうぶん、楽しかった。

普通のひととは違った生き方を選ぶ大変さや、周りを巻き込みながらも、自分を貫くことの大変さが、シンプルに描けていました。

劇場には、ゲイの方々が結構いらしゃいましたよー。