山田あかねの一喜一憂日記

テレビディレクターをやりながら、小説書いてます。映画も撮りました。脚本なども書いてます。 本、買って下さいね。

「千羽鶴」への感傷

ブログを書くのを、ざっくりさぼっておりました。

ここのところ、明日からやる、実験的なドラマの準備に忙しく…いや、それほどでもないんだけど、最大の難関として、『超時差ボケ』にやられておりまして、生活時間がめちゃくちゃでした。

…と終わったことのように書いてますが、昨日も全然眠れなくて、夜中、仕事のようなことをして、えっと今、30時間くらい起き続けてます。

さすがに、今は眠いので、今夜こそ眠れそうです。

時差ボケのないのが自慢の、普段から昼夜逆転の身だったんですが、寄る年波に勝てなかったのか、本人が治す意欲がなかったせいか、とにかく、治らず…というか、帰国後より悪化しておりました。

明日からやるドラマが「千羽鶴」にまつわるものでして、私はそういえば、千羽鶴ってよく知らないなーと思って調べ始めたんですね。

すると、千羽鶴セットも売っているし、あらかじめ、折りあがったものも売っているんですねー。そして、「病気が早く治りますように」という切なる願いのこもった、エピソードがあることを知りました。

しかし、いろいろなエピソードのうち、私がひっかかりましたのは、川端康成さんの「千羽鶴」という長編小説でした。

川端康成さん…などと「さん」呼ばわりしていいものかわかりませんが、実は、それほど魅力がわからず、「伊豆の踊り子」は読んだ記憶はあるのですが、ほとんどおぼえていませんでした。

が。

この「千羽鶴」は面白かったー。

やっとこういう物語が理解できる年齢に達したということなんでしょうか。

非常に奇妙な物語なんですねー。戦前から戦後にかけての物語ですが、あの、大戦争が、登場人物たちにほとんどなんの影響も与えていない。

「ものが手に入りにくくなった」くらいの感想しかもたず、もっと身近なことに熱中しているんですね。

主人公は、30代前半くらいの、お金持ちのひとり息子で、都内の会社に勤めている。仕事の話はほとんどでてきませんから、会社に勤めている…くらいしかわかりません。

で、物語はこの主人公が、北鎌倉の円覚寺で開かれたお茶会に行くところから始まります。

この茶会で、主人公は「千羽鶴」が描かれた風呂敷を持った女性と知り合う。この女性と惹かれ合い…というのなら、「千羽鶴」というタイトルもわかりますが、どーもそうじゃないんですね。

「千羽鶴」の女性は見合いの相手であり、彼女のあしからず思っていたというのに、この主人公、お茶会で出会った、45歳の、自分の父の愛人であった女性と一夜をともにしてしまうんですねー。

以来、ふたりは、熱愛するわけですが、「父の愛人」であったことに対する罪悪感と、この女性の娘の妨害でなかなかうまくゆきません。

このようにして、奇妙ーな恋愛、というより、色恋が続いて行く物語です。そして、その色恋の小道具として、美しく描かれるのが、茶道具です。父は茶人だったようで、父の残した茶道具が、気の利いた小道具として、いろんな場面で活躍します。

ちょっと昼メロ的展開なんですけど、さすがノーベル賞作家、うまいです。読ませます。

志野焼という、白っぽい茶碗がその女性を象徴するものとして出て来るのですが、茶道具というのは、数百年に渡って、いろんな人の…口を経て、受け継がれてくるもので、それがまた、じわーっと効いてくるんですねー。

そのようなわけで、すっかりはまって、読んでおりました。夜眠れないのでね。

で、明日はその、「千羽鶴」のまつわるミニドラマを、お気に入り俳優さんたちと作って参ります。

実験的な試みなので、すごーい楽しみな一方、どうなるんだろうってドキドキしてます。

「千羽鶴」って元気になってほしいと思っておるものだけど、どこか、はかない、というか、死の匂いがあらかじめするような気がしてなりません。

鶴は千年、生きるっていうのに、自分には、「白鳥」のイメージが重なってしまうのかもしれません。

川端康成の「千羽鶴」も、ちょっと、「白鳥の湖」に似ているかもしれません。

では。がんばってきまする。