山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ディレクターズ・ライブ

土曜日と日曜日は、東京工芸大学というところで、「ディレクターズ・ライブ」というのをやってきた。

ディレクターズ・ライブって、なんやねん?と思う方も多いと思う。

ディレクターが歌って踊るのではない。私にそんな能力はない。…あったらいいけど。

大学の公開講座のひとつで、映像演出の方法を実際に、映画のワンシーンを作ってライブで見せるという試み。

この大学の教授であり、映画監督の山川直人さんから誘われて参加した。

山川直人監督といえば、自主映画界のスター監督であった。

私が大学に入った頃、すでに山川さんは、自主映画界で知らぬひとはいないほど有名で、才能にあふれ、みんなの憧れだった。

私も作品を見て、圧倒され、学生なのにこんなものが撮れるひとがいるんだーとしみじみ尊敬したのである。

同じ大学の学生であったし、私も自主映画のクラブにいたけれど、雲の上のひとであり、会ったことも話したこともなかった。

それから、○十年、昨年の秋に連絡をいただいて、本当にうれしかった。

なぜなら、山川さんは私の映画を見て、面白かった…と言ってくれたからである。

だから、声をかけた…と。

わー生きてるとうれしいこともあるんだーと本気で思った。

青春時代に「こんな映画を撮れたらなー」と思った人が、私の映画を見て、面白かったと言ってくれたのである。こういうのって、本当にうれしい。

なので、とにかく引き受けた。ロンドンに行く予定にはなっていたけど、途中で帰ってきてもやろうと思ったのだ。(実際、帰ってきた)。

そしてさらに、もうひとり、同じライブをやるのが、諏訪敦彦監督だというのだから、光栄すぎた。

諏訪監督の作品もずっと見てきて、常々、すごいなーと思っていたわけです。自分の映画に渡辺真起子さんに出演してもらったのは、諏訪さんの映画で見て、好きになったからである。

そんな輝ける人々と一緒に並べるなんて、思わず、「本当に私でいいんですか?」と聞いたほどだ。

そういう背景のなかで、3分ほどのショートストーリーを撮ってきた。

出演してくれたのは、藤谷文子さん、米村亮太朗さん、森岡龍くん…という豪華メンバー。

(あと、急に南風佳子さんという女優さんにも出ていただいた)

藤谷さんとは、以前脚本を書いた「フェイスメーカー」(読売テレビ)というドラマの関連飲み会で知り合い、非常に魅力的な人だったので仲良くなった。

藤谷さんはハリウッドに住んで、演技の勉強をしていて、その時、ハリウッドの演技の勉強法について聞いたのだ。

のちにこれが、柳楽優弥くんといったハリウッドのドキュメンタリーにつながった。藤谷さんに刺激を受けたから始まったのだ。

米村亮太朗さんは、劇団「ポツドール」の舞台を見てから、ずっとファン。暴力的な男を演じる姿にまいってきた。いつか仕事したいと思っていた。

森岡龍君は自分の映画にもでてもらって、彼の勘のいい演技がとても好き。監督としても、活躍しているし、才能あふれる好青年。

というわけで、好きな俳優さんに集まってもらえてすごいうれしかった。

これはあくまで、講座で学生のためにやったんだけど、自分としても実験的なことをやらせてもらった。

ハリウッドのリーストラスバーグで習った演出法を実戦してみたかったのだ。

そういう意味で、すごく刺激になり、楽しかった。

もちろん、学校の講座なので、プロの現場と違い、いろいろ足りないこととか、思うようにいかないこともあったんだけど、俳優さんたちがみんな、協力的で、足りない部分に怒ることもなく、全力で挑んでくれてうれしかった。

欲を言えば、もっとやりたかった。もっと時間がほしかった。

同居人にいつも、「なんで、そんなに欲が深いの?」って言われるけど、しょうがない。

この「もっとやりたい」思いがあるから、やっているんだよねー。

そんなわけで、いろいろ反省はあるにしろ、楽しかった。

そして、勉強になった。この年になっても、学ぶことはたくさんあって、はじめてわかることも多い。

というか、まだまだなんだといつも思う。

これから学びたいこと、やりたいことが多過ぎて、生きているうちにできるのか…と思う。

そもそも、小説も、映画も、ドキュメンタリーも、犬のレスキューもやりたいんですけど、そんなにあっちこっち見ててもいいのかな…と思うのでした。