山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

嘘を仕事にする

つい最近、WOWOWに加入したため、にわかに忙しくなっている。

っていうか、見るものがたくさんあるので、忙しいのだ。

昨日だけで、映画「ウオールストリート」(2010)、

第三舞台「深呼吸する惑星」、

そのメイキング・ドキュメンタリーと、

3本も見ました。忙しいーぞー。

今日は、「ウォールストリート」の感想から。

(第三舞台については思うことがいろいろあるので、時間のある時じっくり書きたい)

「ウォールストリート」は、マイケル・ダグラスが刑務所から出所するところから始まる。

彼は、前作「ウォール街」で、インサイダー取引によって、逮捕され、収監されていたわけですね、5年間ほど。

で、この前作って23年も前だったのね。つい最近のことのように思えてショック。そんなに時間が過ぎたなんて。

前作の公開は1988年、日本もバブル崩壊前で、お金の匂いがじゃりじゃりしていた時代…。

話を戻すと、映画の舞台は2008年、リーマンショックで、アメリカの金融界(経済全部?)が揺れていた時代。(っていうか、つい最近のことですね)。

今度の主人公は、いわゆる、今風のやさしい若者で、ウォールストリートで働いてるとは思えないくらい、ガツガツしてない青年。でも、それなりに、切れ者ってことになっている。

で、彼の恋人がマイケル・ダグラス演じるカリスマディーラーの娘という設定。

過去と未来をつなげてみせている。

ここらへんの設定がちょっと無理がある。

お金のことしか考えていなかった父親を許せない娘が、なぜ、父親と同じ職業の男性を結婚相手に選ぶのか。彼女はインターネットジャーナリストで、住む世界も志向もかなり違うはずなのに。

そこらへんは気にしないで進むとして、で、圧倒的にマイケル・ダグラス演じる、元カリスマディーラーがかっこいいわけです。

インサイダーで捕まって、当時のことをネタに本を書き、講演する日々だけど、賃貸マンションに暮らす、ちょっと情けない現状なんだけど、それでも魅力的に見える。

それは、マイケル・ダグラスという俳優の力か、彼にそう演出したオリバーストーン監督の力か、単に私の男の好みの偏向かわかりませんが、主人公の、今ふうの、証券マンのくせに、お金にガツガツしないで、エコエネルギーの夢を語ってしまうような、「優しい青年」よりずっと魅力的に見える。

日頃、私はクリックひとつ、数字を動かすだけで、巨万の富を得るひとたちをよいと思っていません。

ひとは額に汗して働くほうがいいと思っているし、このような株取引みたいなもので、儲けるひとが出てきたから、世界がおかしくなってしまっているんだわ…とわりと、ありきたりに批判的に、考えております。

なのに、この映画のなかでは、お金を愛し、お金を増やすゲームに熱中し、倫理観に欠ける男を魅力的だと思ってしまいました。

実際、金融業界に知り合いもなく、会ったこともないので、どんなひとがいるか、皆目想像もつきませんが、
このような虚業でお金を儲けることをよしと思ってこなかったのに。

自分の仕事だって、虚業ですから、常日頃から、ちょっと後ろめたいです。こんなことで、お金もらって生きてていいのかしら、という思いはある。

野菜やお米を作るひとや、医師や看護師さんや、家をたてる人や、とにかく、目に見えて役立つ感じの仕事には引け目はあります。

けれども、映画のなかでは、「ワル」が魅力的に見えてしまうのね。

数字の操作でお金を儲けるような人に反感を持ちつつも、そういうことをしてしまう、人間の品性のなさとか悪さとか欲の深さとか、でも、それこそが、人間ってもので、その善悪が混沌としているそうな存在は、やはり魅力的なのだと思いました。

そのような、善と悪のあわいをいくような人物を描き、裁断しないこと、そういう作品が好きなんだなとあらためて思った次第です。

しかし、リアルに、ホリエモンさんとか、収監されているわけだから、映画だけと、ノンフィクションみたいでもあるかもしれない。

映画としては、いろいろと詰めの甘いところがあると思いましたが、欲望に正直な人間の話には、なぜか、いつも好感を持ってしまうのでした。