犯罪実話モノ好きのADさんに聞いて、「ブリングリング」を見に行った。
コレ、実際にロサンゼルスで起こった事件を元にしている。
地元の女子高校生たちが、パリス・ヒルトンを初めとするセレブの家に忍び込み、ブランドモノやキャッシュなどを盗んでいた事件。被害総額は3億円近く。
これって映画としての出来よりも、事件そのものに、考えさせられる。
女子高生4,5人とひとりの男子高校生が、WEBで、セレブのスケジュールを調べ、住所を調べ、しのびこむ。
ここらへんは、ネット時代の怖さ。
セレブだともっと警戒が厳しいのかと思ったけど、そうでもないみたい。
どの家もわりとすんなり侵入できる。
で、盗みに入ると、すごいブランドものの山。
ロケは実際のパリスヒルトンの家で行われたそうで、とにかくすごい。
ルブタンのハイヒールなどが、ちょっとした靴屋さん以上に並んでいる。
服もアクセサリーもはんぱない。
ゴージャスでキラキラしてて、10代の女子なら、1度は夢見てしまう世界が広がっている。
服も靴もバッグも好きなだけ…。
で、目を輝かせた女子高生たちは盗む。
それも、どこかで売りさばこうとかそれで儲けようとかというより、とにかく、ほしいから盗む、といった感じ。
(一部の盗品は売っていたようだけど)
盗みは悪いことだけど、でも、考えこんでしまう。
被害総額が3億円近いってことは、3億円近いブランドモノが並んでいたってことだ。
なんかそこにひっかかる。
ルブタンの靴なんて、一足10万くらいするわけだし、それがもう100足くらいあるわけだ。
月給10万円に満たないひとだって、アメリカにはいっぱいいるはず。
あるいは、月に10万円で家族で暮らしているひとだっているはず。
映画はわかりやすい善悪で犯人を裁かないけど、裁けない…気持ちになってくる。
おかしいよね、って気になる。
たまたまお金持ちの家に生まれただけで、それだけのモノに囲まれることができる。
(被害者には女優もいたので、自分が演じることー働いたことで財をなしたひともいるけど)
でもさ。
やっぱりひっかかる。
一部のひとのみが、想像できないくらいの富を手にしてしまう社会が。
犯人たちは、もっとも単純な「盗み」をしたけど、この資本主義社会で、合法的な「盗み」まがいで財をなしたひとだっていると思う。
差が激しすぎる。
女子高生の悪ふざけ、として事件を見れない。
ブランドものの放つ、魔力と、常にそういうものにさらされて生きないといけない世界。
ふつうにしてたら、絶対、手に入らないものたち。
「盗み」って単純な「盗み」だけじゃない気がする。
彼女たちがやったのは、原初的な盗み。
けど。
この世界には「合法的」をよそおって、こっそり人のものを盗む者たちもいる。
そのことのほうが本当は怖いよなー。
事件の真のこわさが垣間見えてしまう映画だった。